クレディビリティ(信頼に近い概念)とは大切なもので、それがなければ何事もエッジが効かず無力です。昨日のロシアによる10.5%から17%への利上げは、その唐突さ・幅、そして中央銀行総裁の見た感じ聞いた感じから、どこかシロウトっぽさを感じ、ロシアとして本件につきちゃんとした認識がなく、しっかりと対応も考えられていないのではないかとマーケットに思われ、要はクレディビリティが欠落し、その結果ルーブルも株価も却って大幅に売られ、未だそれは戻ってくる気配はありません。クレディビリティとは斯くも重要なものです。万能細胞のようなものですね。流石のプーチンも、資本市場に関してはシロウトである、もしくは興味がないことを露呈してしまった感があります。一方、ロシアの資本市場が世界の資本市場に与える影響は限定的なので、我々として狼狽する必要はありません。ただ今回のことが、万能のリーダーを自認するプーチンに、何か変な作用を及ぼさないかがちょっと心配です。暫くは冷静に、しかし注意深く見守る必要がありそうですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。