基軸通貨、そしてその紙幣と云うものは凄い力があります。前にも書いたことがありますが、例えば麻薬や兵器の売買、いわゆるブラック・マーケットの決済には現物のドル紙幣が使われることが多いことは映画などを見ると良く出てきますが、あのように一旦ブラック・マーケットの決済に使われた紙幣は二度と財務省に戻ってきません。なぜならその過程で足が着いてしまうからです。紙幣はそもそも国の借用証書なので、財務省に(日本で云えば日銀に)戻ってこないと云うことは借金が棒引きになる訳です。専門的にはデット・エクィティ・スワップ、債券から株式への転換が行われる訳です。借金のつもりが返済義務のない出資金に変わってしまう。これは基軸通貨を紙幣を発行する国にとっての巨大なメリットです。
この手のことは麻薬や武器売買に使われるドル紙幣と、かつてのスイスの秘匿預金だけだと思っていたのですが、旅行者が持ち帰る渡航先紙幣などもそれに当たることに気が付きました。ある調べによると、日本の旅行者がアメリカから持ち帰ってそのままにしているドルの金額、即ち在日ドルタンス預金のようなものは、1兆3千億円を超えるらしいです。これは凄い。このようなエクイティ化したお金はやはりメジャーな国が多いでしょうか?或いはメジャーな国には何度もまた訪れたり、近所で行く人と円交換をしたりもするのでマイナーな国の通貨の方が積もり積もって多いでしょうか?国としては頻繁にデノミしたり紙幣交換するのも手です。でもやはりアメリカは強いんでしょうね、こんなところでも。
明日もう一日(こちらでは月曜日)ニューヨークでIRをしてから帰国します。アメリカは随分元気になっている気がします。明日も良くコミュニケーションしたいと思います。