私の信頼するインベストメントバンカー、Sさんが今年一杯で引退すると私のところに説明に来てくれました。インベストメントバンカーと云うと、生き馬の目を抜くような人ばかりを想像されるかも知れませんが、会社の合併や買収、資本調達などを相談する相手ですから、それは即ち会社の運命を左右する事柄のアドバイスをもらう人ですから、本来は信頼できる、何でも安心して相談できる人でなくてはいけません。そうでない人も沢山います。しかし私が知る超一流のインベストメントバンカーは誰よりも口が堅く、安心して背中も見せられる人です。一流でないインベストメントバンカーは、頭の回転が速く、口が上手な、危険な人になります。少なくとも日本ではそう云った人たちのイメージが強いと思うのですが、本当は違います。

Sさんは、本当に信頼できる、一流のインベストメントバンカーです。Sさんは私とほぼ同い年。インベストメントバンク業界で私の同期、もしくはそれに近い現役の数は本当に減ってしまいました。Sさんがやめることは、インベストメントバンクのひとつの時代がやはり終わったのだと感じさせられます。

Sさんは同じ業界には戻りたくないとのこと。かと云って他のことをやる経験も知識もないので、何か新しい仕事をするための勉強と云うか鍛錬をした上で、その仕事をいずれ始めたいと仰っていました。いわゆる「暫く充電してから」とは似て全く非なる心構えです。やはりSさんはいいな。私は仕事のプロが好きです。Sさんありがとうございました!