資本市場の要素、或いは金融ビジネスを成り立たせるための要素は何か?これは、リスクを取る者・資本や資金を供給する者と、リスクを外す者・資本や資金を調達する者と、それらを仲介する者・或いは仲介を可能にする技術の、3つだと考えます。この3つの資本市場3大要素、もしくは金融ビジネス3大要素の中で、どれが一番大切でしょうか。

技術(例えば金融工学だったり、証券化技術だったり、或いは高速トレーディングに対応するシステムだったり)は、一見とても大切で差別化要因のようでありますが、技術はコピーすることが出来ます。特に現代に於いては技術や、技術を持った人員の移転・移動は、いとも簡単です。リスクを外す者・資本調達者はどうでしょう?これも一見重要で、資本市場の起きる理由のようにも思えますが、彼らは何か(例えば株や、会社のバランスシートの一部)を売って、その替わりに"お金"を得る訳ですが、お金に色はないので、誰でも一番多くのお金を持ってきてくれた人に会社の一部(ステーク・シェア、もしくはバランスシートの一部)を売るだけです。

私は、資本市場に於いては、リスクを取る者・資本供給者がもっとも大切・重要で、資本市場や金融ビジネスを成り立たせる究極の要素はこの人たちだと思うのです。それは即ち投資家、特に最終的なリスクマネーを供給する投資家です。トレーダーではなくインベスターです。個人も法人も投資家(インベスター)になりますが、法人には株主や受益者がいる筈で、それは個人か法人で、そのまた法人には株主がいて、となるので、法人投資家(機関投資家)も究極的には個人投資家の集まりです。資本市場の最終究極要素は個人投資家なのです。その個人投資家の視点に立った資本市場の制度やルールが作られなければ、資本市場は廃れていくでしょう。このような問題意識を持って、私は個人投資家応援証券評議会に臨んでいきたいと思います。