新日鉄と住金の合併に向けた検討の開始。日本企業のグローバル化が加速していくでしょう。いや、加速させていかねばなりません。国内二社統合によって世界第2位を造れるところが、経済大国ニッポンの面目躍如という感じで、株式市場も好反応でした。

このグローバル化について思うことが3つ。1.グローバル化は約束された成功ではなくてリスクを取る行動であるということ。そしてリスクを取らなければリターンはないし、今の日本はリスクを取るべきステージにあるということ。2.グローバル化の流れを、政治・行政は後押ししてくれると私は信じていますが、間違っても水を掛けるようなことはしないで欲しいこと。3.そして真のグローバル化とは、ビジネスの市場をグローバル化していくことではなくて、企業活動の源である「人」をグローバル化していくことであること。

この3番目のポイントは、必ずしも一般的な考え方ではないかも知れませんが、私はとても重要に思っています。例えばこんな話があります。アメリカの超一流大学付属の医療機関。世界中から優秀なドクターが集まり、大変高度な研究と医療が行われてきた。その力の根源は、世界から集まったドクター/スタッフの多様性であると。しかしこのドクター/スタッフの子供達は、アメリカで生まれ、或いはアメリカで育ち、"アメリカ人"になってしまい、その子達を集めても、多様性によるメリットが親の代のようには発揮されないと。そんな観察があることを、私はアメリカの学者さんから聞いたことがあります。最も重要なグローバル化は、人材のグローバル化だと思うのです。いずれ日本も、そういう道を歩めるでしょうか。

我々はもっとリスクを取るべきだと、そう思います。