- 今週は邦銀の3Q決算発表が集中。サプライズは見込めないものの、既に、2Qまでの会社計画達成率が高く、通期計画に対する達成率が8割を超える銀行が多いだろう。
- 今年の銀行業界は、ポジティブな要素が多いことから、そろそろ邦銀株投資の好機。当面は、業績を確認しつつ高配当銘柄に注目し、年後半は、景気拡大と金利上昇期待本格化から、高ベータの大手行、地元景気が堅調な大手地銀株に注目。
- リスクは、5月の通期決算で提示される19/3期の会社計画が保守的なものになる可能性。有価証券関係損益の剥落や、与信費用の反転などを織り込むため。これらを回避しつつ、高配当狙いから高ベータシフトの2段階の戦略で臨みたい。
足元の株価と業績動向
今週は大手行の3Q決算が発表される。株価は、年初は金利上昇期待で好調なスタートを切ったが、その後低迷している(図表1)。
そのような中で今週は大手行、地銀の3Q決算が発表になる。例年銀行の3Q決算にはさほど大きなサプライズはないが、総じて良好な内容となると予想される。
足元では、地銀を中心に貸出の伸びが堅調である(図表2)。都市銀行は、国内貸出の伸びが鈍化しているが、その分、海外貸出の伸びでカバーしていると思われる。
新規貸出金利も、住宅ローンなどの長期については下げ止まりつつある(図表3)。さらに、基準金利がじわじわと上昇し始めたことから、短期も含めて利鞘の下げ幅は鈍化していくだろう(図表4)。また、手数料収益も、株式・不動産、M&A市場等の活況で、持ち直しているものとみられる。
このため、2Q時点で通期会社予想に対する達成率が高かった銀行については(図表5)、通期予想に対する当期利益の達成率は8割をゆうに超える可能性が高い。
当面の投資戦略
今年の銀行業界は、昨年12月末の国際資本規制最終案の決定や、日米の中央銀行の幹部の交代、コスト構造改革の本格始動など、ポジティブなニュースが多く、注目度が高まるだろう。
このため、銀行株については、以下の2段階での投資戦略を推奨したい。
まず、期末に向けては高配当銘柄を検討したい。銀行株の配当利回りは引き続き魅力的である(図表6)。上記の通り、3Q決算は総じて良好な内容になりそうなので、決算に関する懸念は少ない。さらに、今期の好決算と規制の決着で、株主還元方針を見直す銀行もありそうだ。
但し、来年度は、今年度好調な有価証券関係損益の剥落や、与信費用の反転などを織り込むため、銀行によっては、弱めの期初予想を提示すると思われる。これらの銀行は現時点から回避し、来期計画に安定感がある銘柄を選択するのが望ましいだろう。
具体的には、あおぞら銀行(8304)、セブン銀行(8410)、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などに注目したい(図表6、図表7)。
次に、年後半は、高ベータ銘柄へのシフトを検討したい。年後半には、海外金利の上昇に釣られることで、日本でも長期金利の上昇期待が高まるとみられる。また、景気の拡大で、大手行や大手地銀では、M&Aなどの手数料収益の拡大が期待できるだろう。特に、地元の景気が好調な地域については、収益の反転が視野に入るだろう。
具体的には、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、千葉銀行(8331)、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)などに注目したい。