金曜日に桃の花を発見したばかりなのに、週末は初夏を思わせる暑さとなりました。しかし今週後半にはこの冬一番の冷え込みになるかも知れないとのことで、金融市場や世界経済同様、随分大きなぶれだと感じます。このようにぶれ幅が大きいときは、緊張感と注意が必要です。風邪など引かぬように気を付けねば。

ところで風邪と云えば、風邪薬を飲めば車の運転は控える。況や世界レベルの重要な会議をや、ですな。
それはさておき、日曜日に街角で沈丁花を見掛けました。沈丁花は一年中いつ見てもあまりパッとしない風貌ですが、何故か春だけは、その周りがポォッと暖かい日差しのスポットライトを当てられているように、不思議と視界に入ってきます。蕾に鼻を寄せても未だ匂いはしません。しかし良く見るとちょっと綻んでいる蕾が奥の方にあったので、無理して鼻を寄せて嗅いでみました。あのツンとする匂いは未だしないまでも、明らかに沈丁花の香りがしました。今年の春の到来を、力強く実感した瞬間でした。

「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」
(古今集春歌上 紀貫之)

以前にも書いたことがありますが、そしてこれからも何度も書くのだと思いますが、沈丁花の香りは、貫之にとっての梅の香り同様、私全体を懐かしい昔にフラッシュバックさせます。これから暫くは、街で沈丁花の存在に気がつく度に、自ら遠い昔にワープする作業を-そしてそれは私にとってはとても大切な年中行事なのですが-繰り返すことでしょう。