可塑性とは、難しい日本語です。英語では、プラスティック(plastic)と云います。三省堂の新明解国語辞典によると、「(粘土・プラスチックなどのように)強い力が加わった時に、形が変わってしまい、そのまま元に戻らない性質。」とあります。

私たちの脳は、可塑性があるのだそうです。脳のメカニズムは、未だ解明されていないことも多くありますが、ひとつの知識や経験によって或る部分に可塑的に変化が起き、それらがいっぱい集まった中で、何かをきっかけに着想が生まれ、それが創造力となるようです。

ひとつの認識が、その瞬間に必ず可塑的な変化を脳にもたらすとも限らないので、メモを取ったりして、あとでも可塑的変化を起こせるようにし、その結果、着想の礎を作ったりもするのでしょう。これは専門家の話を英語で聞いた内容なので、聞き間違えたり、誤解しているかも知れませんが、大まかそのようなことのようです。

この話は、私にはとても新鮮でした。普段から筋肉トレーニングをしなければ、筋力が付かないことは明白です。筋肉が訓練の積み重ねによってのみ変化することは、容易に飲み込めます。しかし脳も同様だとは、必ずしも直感的にすんなりとは入ってきません。しかし脳も同じであるのです。普段から脳をトレーニングする。様々な、広範で分散した知識や経験を得て、創造力の礎となる可塑的な変化を多く作る。着想・インスピレーションは天から降ってくるものではなく、自ら準備・お膳立てをしなければいけない。このことを肝に銘じたいと思います。