先週の中国株ですが、上海総合指数は続落、深セン総合指数と創業板指数、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初の6月11日(月)は週末に行われた主要7カ国(G7)首脳会議での貿易問題を巡る対立が米中貿易摩擦懸念を拡大させ、続落からのスタート。6月12日(火)は米朝首脳会談が良好に進展したことや、中国当局が中国石油、中国石化、中国海洋石油の石油3社のパイプライン資産をひとまとめにして新会社に注入する方針であることが伝えられたことから、石油会社が堅調に推移したことで反発となりました。

しかし、6月12日(火)の引け後に発表された5月の中国の経済指標が予想よりも低かったことから6月13日(水)は反落。5月のマネーサプライ(M2)は+8.3%(市場予想+8.5%、4月実績+8.3%)、新規人民元貸出額は1兆1,500億元(市場予想1兆2,000億元、4月実績1兆1,800億元)となっており、当局がレバレッジの解消を進めるため、中国経済が減速するのではないかとの懸念につながりました。また、中興通訊(00763)が売買再開となり、ストップ安(-10%)をつけ、関連銘柄が売られたこともマイナス材料となりました。さらに6月14日(木)と6月15日(金)も続落。6月14日(木)に発表された中国の経済指標が予想を下回ったこと、米国が中国に対する500億ドル相当の巨額関税を発動するとの報道、中興通訊(00763)が連続してストップ安となったことが要因です。経済指標については5月の小売売上高が+8.5%(市場予想+9.6%、4月実績9.4%)、鉱工業生産が+6.8%(市場予想+7.0%、4月実績+7.0%)、固定資産投資が+6.1%(市場予想+7.0%、4月実績+7.0%)といずれも予想を下回りました。結局、上海総合指数は前週末比-1.5%の3,021.901ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数は週の前半は堅調だったのですが、週の後半に大きく下げました。週の前半は日欧米の金融政策決定会合を控え、全般的に様子見基調で商いも低調ながらも、舜宇光学科技(02382)などの成長株が牽引する形で小幅高での推移となりました。しかし、週の後半は上海総合指数と同様、米中の貿易摩擦懸念や低調な中国の経済指標、中興通訊(00763)が売買再開となり急落したこと、さらにFOMCで利上げが決定されたことで新興国から米国への資金還流が加速するのではないかとの懸念から下落となり、結局、香港ハンセン指数は前週末比-2.1%の30,309.49ポイントで引けています。

貿易摩擦問題や中国の経済指標のスローダウンで調整が続く中国株ですが、香港ハンセン指数の推移を見ると、2月以降は32,000ポイントから29,500ポイントのボックス圏で推移しており、大きく株価を切り下げていく様子はありません。11月の米国の中間選挙までは貿易摩擦問題への懸念は続くかもしれませんが、その後は、米国や中国の強い経済状況を背景に、株価は年末に向けて上昇していくと予想しています。今はその上昇に向けた値固めといった感じでしょうか。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)