先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って続落となりました。上海総合指数ですが、5月28日(月)は引き続き米中貿易摩擦への懸念が市場心理に影を落とす中、中国人民銀行(中央銀行)が金融統計の検査に着手したことなどから、銀行株が軟調で指数の重しとなり、続落でスタート。5月29日(火)も小幅続落となり、5月30日(水)は前日比2.5%安の大幅続落に。イタリアやスペインの政局不安で世界的な株安になったことに加え、米ホワイトハウスが中国に対する関税などの制裁措置発動に傾いたことで、6月2~4日に予定されていた3回目の米中通商協議が見送られる可能性が出てきたことを受けて、上海総合指数は1年7か月振りの安値をつけました。
5月31日(木)は朝方に発表された5月の中国国家製造業景況感指数が51.9と市場予想の51.4を上回ったこと、同じく中国国家非製造業景況感指数が54.9と、これも予想の54.8を上回ったことから中国経済の底堅さが再認識されたことや、中国本土株の一部が6月1日にMSCIの主要株価指数に組み入れられること、中国商務省報道官が中国は貿易を巡り米国との緊張が高まるのを望んでいないとコメントしたこともプラスとなり、反発となりました。しかし、6月1日(金)は、この日発表された5月のCaixin中国製造業景況感指数が51.1と、予想の51.2を下回ったことなどで反落となり、結局、上海総合指数は前週末比-2.1%の3,075.137ポイントで引けています。
一方、先週の香港ハンセン指数ですが、週の前半までは上海総合指数と同じような動きだったのですが、5月30日(水)の下落が吉利汽車(00175)、舜宇光学科技(02382)、瑞声科技(02018)などの成長株が下げ渋って指数の下落幅が上海総合指数ほど大きくならなかったことや、6月1日(金)にテンセント(00700)と中国海洋石油(00883)が堅調で指数を引きあげて続伸となったことから、香港ハンセン指数は前週末比-0.3%の30,492.91ポイントの小幅安に留まっています。
小幅続落となった香港ハンセン指数ですが、4日(月)は米国株が堅調だった流れを受け継ぎ小高く始まっています。米ナスダックが堅調で史上最高値更新を視野に入れているだけに、香港株もテンセント(00700)や舜宇光学科技(02382)、瑞声科技(02018)などのIT関連の上昇を今週は期待したいところです。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)