先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初の5月14日(月)は反発でスタート。中国が米国の農産品への関税を取り下げる見返りに米国が中興通訊(ZTE)に対する制裁措置を緩和する方向で合意に近づいているとの観測が材料。また、5月11日(金)の引け後に発表された中国の4月の新規人民元貸出額が市場予想の1兆1,000億元を上回り1兆1,800億元となったこともプラスでした。セクター別にはスマートフォン関連、金融関連が上昇し株価を牽引しました。5月15日(火)もMSCI指数に採用される中国A株234銘柄が発表されたことを受けて小幅続伸。

5月16日(水)は米国株の下落や米国長期金利の上昇、MSCI指数採用による資金流入は限定的になるのではないかとの見通しが台頭したことから反落。セクター別には、この日に発表された中国の4月の主要70都市の不動産価格が前月比で0.57%上昇と、3月の0.42%上昇から加速したことで、当局による不動産市況の引き締めが行われるのではないかとの警戒感から不動産株が軟調でした。5月17日(木)も4月の中国の海外直接投資(前年比)が-1.1%と3月の+0.4%を下回ったことや、米中の貿易摩擦にかかる協議の見通しが不透明なことなどが材料で続落。しかし、5月18日(金)は中国政府が動物飼料やアルコール醸造に使われる米国産コーリャン(ソルガム)に対する反ダンピング(不当廉売)調査を打ち切り、米中の貿易摩擦を巡る対立解消に向け歩み寄りの姿勢を見せたことから、米中の貿易摩擦懸念が後退しました。セクター別には、原油価格の上昇からエネルギーセクターが上昇しています。結局、上海総合指数は前週末比+0.9%の3,193.303ポイントで引けています。

一方、先週の香港ハンセン指数ですが、5月14日(月)は中興通訊(ZTE)に対する制裁措置を緩和観測が材料で6日続伸となったのですが、15日(火)はIT大手のテンセント(00700)が決算発表前の手仕舞い売りで3%を超える急落となった他、瑞声科技(02018)が大幅続落、舜宇光学科技(02382)も反落となって反落。5月16日(水)と5月17日(木)も米国株の下落や米国長期金利の上昇による新興国から米国への資金還流懸念が強まって続落。5月18日(金)は前述の米中の貿易摩擦問題において、中国政府が歩み寄りの姿勢を見せたとの報道から小反発となり、結局、香港ハンセン指数は前週末比-0.2%の31,047.91ポイントで引けています。

小反落となった香港ハンセン指数ですが、100日移動平均線をサポートラインとしている動きに見え、引け味は悪くありません。すでに中国と米国は中国が米製品の「購入を大幅に増やすこと」で合意したとする共同声明を5月19日(土)に発表しており、米中貿易摩擦懸念の後退から今週は堅調な株価推移が期待できると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)