先週の中国株ですが、上海総合指数と創業板指数は続伸、深セン総合指数は反発、香港ハンセン指数は続落となりました。上海総合指数ですが、先週はメーデーで4月30日(月)と5月1日(火)が休場となったため、3営業日の取引となりました。メーデーの連休明けの5月2日(水)ですが、小高く寄りついたもののすぐにマイナス圏に転落。トランプ政権の経済チームの訪中による通商協議を控え様子見基調の相場展開に。また、この日に発表された4月のCaixin中国製造業景況感指数で新規輸入受注指数が50を割り込んだことも投資家心理を悪化させました。セクター別には中国当局が石炭価格上昇についての懸念を述べたことから石炭株が軟調だったほか、上半期の大幅減益見通しを発表したBYD(002594)が大幅安となっています。
3日(木)は、トランプ政権が中国企業の通信機器制限へ向けて大統領令を検討するとの報道から前場はマイナス圏での推移だったのですが、後場にプラス圏に大きく切り返しました。これは、中国の大手スマートフォンメーカーである小米が香港での新規上場申請を行ったとの報道から香港上場後の中国本土上場への期待が高まり、関連株やハイテク株が上昇したことがキッカケです。しかし、4日(金)には小反落。トランプ政権の経済チームの訪中による通商協議で中国政府は米国からの貿易赤字2,000億ドル縮小や「中国製造2025」政策で掲げた公的補助金などの技術支援の即時撤回等の要求を呑むことは無く、協議による進展はないとの悲観的な見方が株価に悪影響を及ぼしました。結局、上海総合指数は前週末比+0.3%の3,091.033ポイントで引けています。
香港市場は5月1日(火)のみが休場となり、4営業日の取引でした。週初の4月30日(月)は大幅続伸からのスタート。トランプ政権の経済チームの訪中による通商協議で、中国側が積極的に応じて貿易紛争回避に向かうとの見通しが株価上昇を牽引しました。また、この日の朝方に発表された4月の中国国家製造業景況感指数が51.4と市場予想の51.3を上回ったこと、中国非製造業景況感指数が54.8とこちらも市場予想の54.5を上回ったことも好感されました。しかし、メーデー空けの5月2日(水)は米国株が軟調に推移したことを受けて小反落。5月3日(木)と5月4日(金)も米中通商協議で進展はないとの悲観的な見方が台頭したことに加え、大型株のHSBC(00005)の決算で発表された自社株買いの規模が予想よりも小さく、5月4日(金)に同社株が大幅安となったことから続落となり、結局、香港ハンセン指数は前週末比-1.2%の29,926.50ポイントで引けています。
依然として米中の貿易摩擦懸念が株価に悪影響を及ぼしており、調整の続く中国株ですが、まずは香港ハンセン指数が200日移動平均線で下げ止まるかを確認したいところです。経済指標や企業業績を見る限りはピークアウトやリセッションを意識するのはまだ先のことだと思いますので、現在の調整局面を抜けられれば、再び上昇トレンドに戻るのが自然な流れと思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)