先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続落となりました。先週は清明節の連休で中国本土市場は3営業日、香港市場は4月2日(月)がイースターマンデー、4月5日(木)が清明節で休場となり、3営業日の取引となりました。上海総合指数ですが、週初の4月2日(月)は前週末比で反落。前週末比で小安く寄りついたあと、前週末に発表された中国の公式製造業PMIが予想よりも高かったことや中国政府がハイテク大手企業の本土上場を促す試験計画を公表したことなどが再評価されてプラス圏に切り返しました。しかし、中国が対米報復関税を発表したことから米中貿易摩擦懸念が再燃し、終盤にマイナス圏に沈みました。
4月3日(火)も続落。米国が通商法301条に基づく対中制裁措置の対象品目を発表した場合、中国は同程度の対抗措置を取るとの考えを崔天凱・駐米大使が示したことなどから、引き続き米中の貿易摩擦問題への懸念が相場の重しとなりました。さらに、セクター別では米国株でIT大手銘柄が強く売り込まれたことから、IT・ハイテクセクターの下落が目立ちました。4月4日(水)も続落。寄り付きは高く寄りつき、終盤間際までプラス圏の推移が続いたのですが、清明節連休を控えてポジションを縮小する動きが強まり、引けにかけてマイナス圏に沈みました。結局、上海総合指数は3日続落となり、前週末比-1.2%の3,131.111ポイントで引けています。
一方、香港ハンセン指数ですが、4月3日(火)は終盤までは米中の貿易摩擦問題への懸念やハイテク株が軟調であったことからマイナス圏の推移を続けていましたが、30,000ポイント以下では割安感から押し目買いも広がり、金融株が上昇を牽引する形で終盤にプラス圏へ浮上して続伸からのスタート。しかし、4月4日(水)は米中の貿易摩擦問題への懸念が再燃した他、清明節の休場を控えてポジション調整が進んで反落して終値ベースでは30,000ポイント割れ。4月6日(金)は休場中に米国株が上昇した流れを受けて序盤から高く始まりましたが、ドナルド・トランプ米大統領が中国からの輸入品1,000億ドル相当に対する追加関税も辞さない構えを示したことに関連し、中国商務省が、米国が実際に関税を課せば「強く反撃する」と宣言したことから一時は大きく上げ幅を縮小する場面もありました。ただ、終盤には再び上げ幅を拡大して引けています。結局、香港ハンセン指数は前週末比-0.8%の29,844.94ポイントで引けています。
先週は米中の貿易摩擦問題で振り回された一週間でした。4月6日(金)の米国株も急反落で引けており、しばらくは米中貿易摩擦懸念で振り回される調整気味の株価展開が続きそうです。しかし、主に3月に発表された2017年の中国主要企業の業績は堅調であり、香港ハンセン指数を見ても30,000ポイント割れには押し目買いも入るようになっています。いずれ、貿易摩擦問題への懸念も、交渉が終了すれば落ち着くと思われますので、そうなれば、強い企業業績を反映して、株価は強い基調に戻れるとみています。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)