先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初の19日(月)は米中貿易摩擦問題が引き続き懸念され、始値は前週末比でマイナスからのスタートとなったものの、金融株や石油株が値頃感から買い直され、引けにかけてはプラスに切り返しました。20日(火)も李首相が米国との貿易戦争は望んでいないとし、積極的な財政政策を続けていくことに変わりはないと述べたことが材料となって続伸となりました。しかし21日(水)は米国の関税措置に対して、中国は証券会社や保険会社の海外への投資制限緩和などの譲歩案も検討しているとはしたものの、対抗策も検討しているとの報道が市場心理を悪化させて反落。

続く22日(木)も人民銀行が7日物のリバースレポ金利を引き上げるとともに、公開市場操作を通じて金融システムから正味1,500億元の資金を吸収したことから金融セクターが主導する形で続落。ちなみに、金利の引き上げは米国の利上げに追随する形で行われたものです。そして23日(金)も大幅続落。米トランプ政権が知的財産権の侵害を理由に中国からの輸入品に制裁関税を課すと表明したことに対し、中国商務省が豚肉など30億ドル相当の米国製品に関税を適用すると発表したことから貿易戦争に発展するとの懸念が広がりました。ただ、終盤にかけては当局の買い支えも入った様子で、この日のローソク足は長い下髭をつけるかたちとなりました。結局、上海総合指数は前週末比で-3.6%の3,152.761ポイントで引けています。

香港ハンセン指数も上海総合指数と同じように週の前半は比較的堅調な株価推移が続いたものの、週後半に軟調な値動きとなりました。特に時価総額最大のテンセント(00700)が大きく下落。同社には、南アフリカのナスパーズというメディア企業がテンセントの上場3年前の2001年より投資をしており、33.2%の保有割合を持つ筆頭株主となっていましたが、22日(木)に発行済み株式数の2%に相当する株式を売却すると発表しました。引き続き31.2%の株式保有は継続するものの、インパクトは大きく、香港ハンセン指数が大きく下落した1つの要因となりました。結局、香港ハンセン指数は前週末比-3.8%の30,309.29ポイントで引けています。

先週は世界的に大きな株価下落が起こるなかで中国株も大幅下落となりました。米中貿易摩擦問題、フェイスブックの米国大統領選のデータ不正利用疑惑など悪材料が多い状況です。しかし、現在はそれらの悪材料で覆い隠されているものの、経済の強いファンダメンタルズはそのままです。前述の悪材料は相場の根本的な崩壊要因にはならないと思います。リーマンショックのような相場崩壊は経済のリセッション入りによってのみ引き起こされると考えるからです。当面は下値模索が続く可能性がありますが、長期的に考えると下がったところは優良株を買う好機と捉えることができると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)