先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続伸となりました。上海総合指数ですが、週初の3月12日(月)は先々週の堅調な株価の流れを受け継いで続伸からのスタートとなりました。中国政府がテンセントやアリババなどの中国本土市場以外で上場しているIT大手の中国本土市場取引を可能にできる措置を検討しているとの報道が引き続き好感され、特に証券株が強い動きとなり株価上昇を牽引しました。原油価格の上昇からエネルギー株も強い推移となり、当局が公開市場操作を通じて資金供給を行ったことも市場心理にプラスでした。

しかし、13日(火)はここまで相場を引っ張ってきた証券セクターに利食い売りが入って反落となり、14日(水)も続落に。米通商代表部のライトハイザー代表がトランプ大統領に年間300億ドル相当の中国製輸入品を対象とする包括関税案を示唆したのですが、トランプ大統領がより大きな数字を目指すよう求めたとの報道から、通信機器、家具、玩具など幅広いセクターに売りが広がりました。また、中国当局が株価操縦で物流会社に過去最高の罰金を科したとの報道も市場心理を悪化させました。なお、同日に発表された中国の2月の小売売上高(前年比)は市場予想を若干下回ったものの、鉱工業生産(前年比)は市場予想を上回り、大きく材料視はされませんでした。続く15日(木)と16日(金)も米国の関税問題が懸念され続けて続落となり、結局、上海総合指数は前週末比-1.1%の3,269.882ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数も週初の12日(月)は、先々週までの堅調な株価の流れを受け継いで続伸からのスタートとなりました。そして13日(火)は概ねマイナス圏の推移だったのですが、ナスダック総合指数が強い推移となっていることからテンセント(00700)などのITセクターが買われて、終盤にプラスに切り返しました。14日(水)から16日(金)は米中貿易摩擦問題が懸念される中でITセクターが堅調で、全体としては一進一退を繰り返し、結局香港ハンセン指数は前週末比+1.6%の31,501.97ポイントで引けています。

今週も中国本土株は引き続き米国との貿易摩擦問題が懸念されて軟調な展開が続きそうです。ただし、香港株は時価総額の大きなテンセント(00700)やその他のITセクターが強い値動きを保っている他、吉利汽車(00175)や平安保険(02318)なども堅調な株価推移となっており、全体としても堅調な株価推移が期待できると予想します。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)