先日京都に少しだけ立ち寄った時のこと、少しの時間の合間を利用して、急ぎ足でいくつかの「庭」を見ました。京都の庭は、いつ見ても情緒に富んだ、素敵な空間です。しかし問題は、どこも人が多いことです。私は食事をする場所の趣味と同様、人混みは基本的に避けるタチです。しかし「庭」の場合は、この問題は更にシリアスです。借景という言葉がありますが、日本の建物と庭は、基本的に建物によって作られた枠の中に庭を見ることによって、ひとつの「絵」になるように作られています。
そしてその絵は、建物の中のどこに視点を、即ち自分を置くかによって、いくつもの違う絵を鑑賞することが可能です。然しながら実際には、庭はなるべく近くから、即ち縁側・窓際から鑑賞される傾向があります。そうすると建物の奥から、建物の作る枠の中に庭を見ることも、連続的に変化する絵を見ることも難しくなります。そして私は、なるべくオフ・シーズンに、なるべく空いているところに、足を運ぶようになる訳です。ひねくれ者ですかねぇ?だとしても、このような和風のこだわりは、これからもそっと大切にしていきたいと思います。