先週の中国株ですが、深セン総合指数と創業板指数は続伸、上海総合指数と香港ハンセン指数は反発と、総じて強い基調となりました。上海総合指数ですが、週初の5日(月)は前週末比小幅高でスタート。トランプ大統領による鉄鋼・アルミニウムの関税問題に係る懸念からマイナス圏での推移が多かったのですが、引けにかけてプラスに戻しました。これは全国人民代表大会が5日(月)から開催されたことから、開催期間中は中国政府が株価の安定化策を図るとの思惑が株価を押し上げたものと思われます。そして6日(火)は世界的に貿易摩擦懸念が後退して米国株が大きく上昇したことから、中国本土株も続伸。中国政府が香港上場のテンセント(00700)や米国上場のアリババ(BABA)などのIT大手企業の株式を中国本土市場で取引できるような措置を検討しているという報道から、特に証券セクターが強く買われました。

続く7日(水)は反落となったものの、8日(木)は反発となり、9日(金)も続伸となりました。中国政府が銀行に不良債権で生じる損失に備えて計上を義務づけている貸倒引当金の比率引き下げに動いたことから銀行セクターが相対的に強い動きとなったことや、中国の2月の輸出が44.5%増と、1月実績の11.2%増やアナリスト予想の11.0%増を大幅に上回ったこと、全人代で何らかの景気刺激策が出てくるのではないかとの期待感が株価を押し上げました。結局、上海総合指数は前週末比+1.6%の3,307.166ポイントで引けています。

香港市場は週初の5日(月)は大幅続落からのスタートとなりました。特に米国との関税問題から、中国の鉄鋼・アルミ企業の業績・財務内容が悪化するのではないかとの思惑から本土銀行株が総じて軟調な値動きとなりました。しかし、6日(火)には前述の通り世界的に貿易摩擦懸念が後退して香港ハンセン指数も反発。7日(水)は反落となりましたが、8日(木)は反発となり、9日(金)も続伸となり、週の後半は上海総合指数と同じような株価推移となりました。香港ハンセン指数は前週末比+1.3%の30,996.21ポイントで引けています。

先週末に発表された米国の雇用統計が良好な結果だったことからナスダック総合指数が史上最高値を更新しており、今週12日(月)の中国株も大幅上昇からのスタートとなっています。今週は14日(水)に中国の2月の小売売上高(前年比)<市場平均予想+10.0%>や鉱工業生産(前年比)<市場平均予想+6.2%>が発表予定となっていますが、2月の輸出と同様に予想を上回る数字が出てくれば株価上昇にも弾みがつきそうです。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)