節度は大切です。金融や投資というものは、何をやる・やらないよりも、どの程度やるか、がとても大切な分野だと思います。いいことでも、やり過ぎればそのこと自体が市場を崩していくこともありますし、逆にいいことでも、やる規模が小さいと意味を持ちません。質よりも、と云うと云い過ぎですが、質と同様に量の程度が重要であるという概念は、しかし一般にあまり理解されていません。

例えば分散投資。ひとつの資産を持つのは危険で、投資対象は分散すべきですが、分散し過ぎると、それは単に平均に戻ってきてしまい、所謂”分散のメリット”はなくなってしまいます。或いは特定の投資対象の買い占めや、特定の市場の寡占。これも、それ自体はいいものであった筈でも、節度を超すと、リスクやコストが高まってきますし、また、流れが変わったときの清算コストや軌道修正コストも高くなります。このように節度、即ち適度な程合いと云うものが、とても重要な訳です。

では経営と節度の関係は如何なるものでしょうか?もちろん節度のない経営は困ったものですが、一方で節度を保ちすぎると、統制が取れ過ぎて変化や新たな試みが少なくなり、JUMP、即ち非連続な成長が起きにくくなると云うことはないでしょうか?全体の節度を保ちながら、規格外の行動やチャレンジを起こさせ、謂わば”コントロールされた無秩序から生まれる非連続的成長”が実現できれば云うことないのですが、そう簡単ではありません。国の経済政策なども同様でしょう。取り留めのない話で恐縮ですが、節度の伸縮と云うことに、意識を払っていきたいと思います。