先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数と創業板指数、香港ハンセン指数は全て反落となりました。上海総合指数ですが、週初の1月29日(月)は続伸からのスタートで一時は年初来高値を更新したのですが、前場の中盤からマイナス圏に転落。利食い売り圧力がかかりやすい株価水準にあったことや、当局が公開市場操作で実質的に資金を吸収したことで、2月16日(金)からの旧正月を控えて、資金の逼迫感が懸念されました。特に保険株に利食い売りが進み、下落を主導。そして、30日(火)~31日(水)も引き続き当局が公開市場操作で資金を吸収したことから続落となりました。原油価格の下落によって石油株が下げたことや世界的に株価が下落していることも株価の下落を加速させました。
さらに2月1日(木)も続落。当局が6日連続で公開市場操作による資金供給を見送ったことで、引き続き資金逼迫が懸念されました。個別では新株発行による資金調達計画を嫌気されて中興通訊(00763)が大幅下落。ただし、銀行株は堅調に推移して市場を支えており、指数の下落幅ほど厳しい印象はありません。そして2月2日(金)はようやく反発。この日は原油価格の上昇と中国海洋石油が2018年の採掘目標を2017年実績から引きあげたことを背景に石油関連株や素材株が上昇し、株価上昇を牽引しました。結局、上海総合指数は50日移動平均線の少し上で反発した形となり、前週末比2.7%安の3,462.081ポイントで引けています。なお、1月31日(水)に発表された1月の中国公式製造業景況感指数は51.3と、市場平均予想・12月実績の51.6を下回りましたが、2月1日(木)に発表された1月のCaixin中国製造業景況感指数は51.5と市場平均予想・12月実績の51.5と同水準であり、結果として株価に大きな影響は与えませんでした。
一方、香港ハンセン指数も反落となりましたが、こちらの下落幅は本土株ほどではありませんでした。香港ハンセン指数も週初から反落となりました。特に香港では米国の長期金利の上昇が、新興国から米国への資金環流へとつながるのではないかとの懸念が台頭しました。しかし、1月31日(水)に本土の銀行株主導で力強く反発。2月1日(木)と2日(金)は米国上場のアリババの決算が悪かったことなどから大型株のテンセント(00700)が売られた他、10-12月期が赤字転落となったレノボ(00992)が売られるなどしたものの、本土銀行株や資源株が上昇して本土株ほどの下落にはなりませんでした。結局、香港ハンセン指数は前週末比1.7%安の32,601.78ポイントで引けています。
先週金曜日の米国株は大きく調整していることや、丁度、中国株の株価が調整しやすい旧正月前であることもあり、今週も中国株は調整が続く可能性があります。しかし、中長期で見た場合、世界的な金融相場は継続しています。また、経済指標や企業業績は好調な状態が続いており、日銀や欧州中央銀行の量的緩和政策が続いている中で、この調整は一時的なものとなる可能性があり、株価が調整すれば押し目買いの好機になると考えることもできると思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)