ステークホルダーと云う言葉を聞くようになってから、早や数年経ちます。会社は誰のものか?企業のステークホルダーとは?私の考えでは、企業のステークホルダーには4者あります。お客様と、株主と、社員と、社会です。企業はお客様のために存在し、株主によって所有され、社員によって存在が可能となり(運営され)、そして社会的でなければ存在を許されません。これら4つのステークホルダーは、相反する、或いはお互いに優劣する存在ではなく、違う意味を持ったステークホルダーであり、並列して共存が可能です。いや、共存しなければ、企業は存在できないでしょう。
ステークホルダーの議論で混乱し、誤解されることが2つあると思っています。ひとつは企業の所有者は誰かと云う議論とステークホルダー論がごちゃまぜになっていることがあることです。企業のステークホルダーは複数ありますが、企業の所有者は株主であることは100%明らかだと思うのですが、たまにここで混乱します。しかしここ数日の株主総会での議決や裁判所の反応などを見ていると、「企業の所有者は株主である」と云う概念が、ようやく我が国でも浸透し、個人株主の方々も、所有者としての権利を自覚して行使されるようになってきたと感じます。これは資本市場の発展にとって心強いことです。
もうひとつの誤解は、経営者・経営陣は企業のステークホルダーでない訳ですが、ここも勘違いされがちです。経営者・陣は企業の管理者であり、所有者でもステークホルダーでもありません。しかし大概うまく行かないM&Aは、経営者・陣がこの部分で勘違いをし、かつ大きな感情を持つが故に、株主は合理的であるにも関わらず、そもそも合理的な提案が経営者・陣から株主に提示されず、混乱するケースが多いと思います。企業のステークホルダー、及びその周辺で、もっとも近代化が遅れているのは経営者・陣だとも云えるでしょう。しかし近未来には、これらのことも広くすんなりと整理・理解されるようになり、様々なニュースも、もっと分かり易く書かれるようになることでしょう。待ち遠しいですね。