先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は続伸、深セン総合指数は反落、創業板指数は続落となりました。上海総合指数ですが、週初の15日(月)は12日ぶりに反落からのスタートとなりました。石炭企業が石炭価格の引き下げを発表したことから下落。しかしながら、長期金利の上昇から金融株は上昇しており、指数自体の値動きにしても、プラス圏とマイナス圏を行き来する展開で終盤にたまたまマイナスで引けたという感じで、内容自体は強い印象でした。そして16日(火)は反発。台湾株が28年ぶりの高値更新となるなど、新興国株が全体的に堅調な株価推移となる中、中国本土株も早々に反発した形です。また、当局が公開市場操作で2,700億元の資金を供給したことが市場心理を改善させました。その他では不動産株が大手外資証券会社の推奨によって上昇しました。

17日(水)~19日(金)も引き続き当局が公開市場操作で資金供給を続けたこと、18日(木)に発表された中国の2017年第4四半期のGDP成長率(+6.8%)が市場予想(+6.7%)を上回り、17年のGDP成長率が+6.9%と、16年の+6.7%から加速して中国政府の目標である+6.5%を大きく上回ったこと、資源価格が堅調に上昇していることから素材株などが上昇したこと、金融株の強い動きが継続したことから、結局、上海総合指数は前週末比+1.7%の3,487.864ポイントで着地し、約2年ぶりの高値を更新しました。ちなみに18日(木)に発表されたその他の中国の経済指標ですが、12月の小売売上高は前年比+9.4%と11月実績・市場平均予想の+10.2%よりも低かったものの、鉱工業生産は前年比+6.2%と11月実績・市場平均予想の+6.1%よりも良い結果となっており、中国の経済状況が堅調であることが再認識されました。

一方、香港ハンセン指数も大幅続伸の週となりました。週初の15日(月)は15日ぶりの反落となったのですが、長期金利の上昇を背景に金融株が買われた他、主力株のテンセント(00700)もレゴグループの提携発表などで強い動きとなり指数上昇を支えました。セクター別にはこれまで買われていたハイテクや自動車関連が軟調な動きとなる一方で、金融株や素材株が買われている印象でグロース株が売られ、バリュー株への資金移動が続いている印象です。ただ、これはあくまでもローテーションだと思います。相場全体は金融相場で上向きの動きが続いている中で、順番に上昇するセクターと短期的な調整が繰り返されるセクターが交代していく感じで、いずれ現在調整しているセクターも調整が終われば上昇基調に戻れるとみています。

結局、香港ハンセン指数は世界的な株高の追い風を受けて前週末比+2.7%の32,254.89ポイントで引け、史上最高値を更新しました。経済成長率、企業収益拡大、雇用、景況感、物価、どれをとっても株価には非常に良い状態で、引き続き堅調な株価上昇を予想します。ただ、短期的には過熱感もあるところです。米国のつなぎ予算が失効して米国政府機関が一部閉鎖となっていることが報道されていますが、過去に何度も起こっている問題で本質的に経済の流れを変える問題にはならないでしょう。もしもそのことで株価が調整するようなら、そこは逆にチャンスという認識で良いと思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)