先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、香港ハンセン指数は続落、創業板指数は反落となりました。上海総合指数ですが、12月4日(月)と5日(火)は下落基調であったものの、先週の流れを引き継いで下げ渋る動きでした。当局によるネット経由の小口融資業務への規制や公開市場操作での資金注入を3日連続で見送ったことなどから、年末に向けての資金の逼迫感が懸念されたことが原因です。ただ、大きく下げる訳では無く、3,300ポイントの大台は維持していました。
ところが、6日(水)と7日(木)も続落となり、3,300ポイントの大台を割ったのはもちろん、200日移動平均線まで下落しました。5日の海外市場で金属相場が下落したことで、中国当局がすすめるレバレッジ解消を背景とした中国の経済減速が連想されました。また、年末に向けての資金の逼迫感から上海銀行間取引金利が7月初旬以来の高水準になっていることも懸念されました。ただし、8日(金)は前場終了後に発表された11月の中国の輸出と輸入が予想を上回ったことで中国経済の失速懸念が後退して、反発となりました。ドルベースの11月の輸出ですが、予想は+5.3%のところ実績は+12.3%(10月実績は+6.9%)、輸入は予想が+11.3%、実績が+17.7%(10月実績は+17.2%)となっています。チャート的にも200日移動平均線で綺麗に反発した形となりました。結局、上海総合指数は前週末比0.8%安の3,289.992ポイントで引けています。
香港ハンセン指数も全体的な流れは上海総合指数と同じような流れとなっています。週初の4日(月)は先々週に大きく下げたテンセント(00700)や平安保険(02318)が買われて反発。ただし、5日(火)に小反落となると、6日(水)には2%を超える大幅な下げに。米国株や日本株、中国本土株、金属価格の下落が市場心理を悪化させました。また、中国本土株と同じく、年末に向けての資金の逼迫感から短期金利が上昇したことも嫌気されました。しかし、7日(木)には買い戻しから反発となり、8日(金)も続伸となりました。テンセント(00700)、舜宇光学科技(02382)、瑞声科技(02018)といった優良ハイテク株が反発し株価を牽引。平安保険(02318)なども上昇しています。結局、香港ハンセン指数は前週末比1.5%安の28,639.85ポイントで引けています。
引き続き軟調な動きとなっている中国株ですが、上海総合指数は200日移動平均線で、香港ハンセン指数は100日移動平均線でしっかりと反発しており、上昇トレンドは崩れていません。また、11月の中国の輸出入の伸び率を見ても、中国のファンダメンタルが大幅に悪化していくようには考えにくいところでもあります。調整が終了すれば自然と上昇トレンドに戻れると予想します。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)