先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は続落、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、続落となったものの、週を通して見ると下げ渋って、横ばい気味の株価推移でした。週初の27日(月)は軟調なスタートで約3ヶ月ぶりの安値に。この日の午前中に発表された10月の中国の工業企業の利益が9月実績の27.7%増から25.1%増に減速したことが嫌気された他、引き続き中国当局のレバレッジ抑制策が懸念され、金融株からIT関連まで幅広い銘柄が売られました。ただし、国家改革発展委員会が鉄道建設を加速すると発表したことから中国中車などの鉄道関連は買われました。28日(火)は小反発。銀行監督委員会の主席が一部銀行のリスク管理を問題視したことなどがあり、金融株が軟調で中盤までは方向感がない展開が続きましたが、後場に入ってから上昇しました。

29日(水)も小幅続伸。この日は不動産株や素材株が上昇して、株価上昇を牽引しました。これはムーディーズが中国の不動産販売の減速について、来年の「鉄鋼需要全般や業界のファンダメンタルズに与える影響はごく限定的」と分析するレポートを発表したことが背景にあると思われます。30日(木)は反落で12月1日(金)は反発。先進国の株式市場で半導体、IT関連株が売り込まれたことや、中国当局による金融セクターへの管理監督の強化への懸念、昨年に新規上場をした銘柄の大量のロックアップ期間解除による需給悪化が市場心理に陰を落とし、上値がおさえられるような相場展開でした。結局、上海総合指数は前週末比1.1%安の3,317.617ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数ですが、こちらも週初から軟調なスタート。27日(月)は中国本土株が下落基調で推移した影響を受け、金融株やIT関連まで大型株が総じて軟調でした。さらに28日(火)、29日(水)、30日(木)、12月1日(金)も下落で5日続落となりました。これは「中国の規制当局が、香港株の組み入れ比率が80%以上の投資信託の中国での販売を認めないと述べた」と報じられたことや、先進国のIT関連株が売り込まれたことから大型株のテンセント(00700)が軟調な株価推移となったこと、金利上昇を懸念して香港地場の不動産株が売られたことなど複数要因によるものです。結局、香港ハンセン指数は前週末比2.7%安の29,074.24ポイントで引けています。

軟調な動きとなった先週の中国株ですが、長期上昇トレンドは崩れていません。たとえば、5日続落となった香港ハンセン指数ですが、50日移動平均線よりも上方で推移しており、健全な調整の範囲内と思われ、調整をこなせれば、再び株価は上向きになると予想します。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)