先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数と創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続伸となりました。上海総合指数は週初の13日(月)は前週の好調な流れを引き継ぎ6日続伸でスタート。長期金利の上昇を背景に銀行株が上昇し指数を牽引しました。上海自由貿易試験区関連銘柄や最近上場した銘柄、航空株も値上がりました。しかし、この日の引け後に発表された中国の10月の経済指標が予想よりも低かったことから、翌日から軟調な展開が続くことになります。具体的にはマネーサプライ(M2)伸び率が8.8%増<市場予想9.2%増、9月実績9.2%増>、新規人民元融資額が6,632億元<市場予想7,830億元、9月実績1兆2,700億元>、小売売上高が10.0%増<市場予想10.5%増、9月実績10.3%増)、鉱工業生産6.2%増<市場予想6.3%増、9月実績6.6%増>となっています。

これらの弱い経済指標を受けて14日(火)は反落。さらに15日(水)も続落で1日の下落幅では3ヶ月ぶりの大幅安に。さらにこの日は中国の長期金利が上昇し、10年物国債の利回りが4%を超えるような状況の中で、レバレッジ解消に向けた当局による金融規制強化の恐れが下げの材料にもなりました。続く16日(木)と17日(金)も続落となって4日続落で週を終えました。結局、上海総合指数は前週末比1.4%安の3,382.907ポイントで引けています。もっとも平安保険(02318)を筆頭に保険株は堅調な上昇となっていることから、中国経済の先行きに対する根本的な不安は小さく、堅調な経済成長と長期金利の上昇が予想されているように思います。上海総合指数はこれまでも抵抗線となってきた50日移動平均線まで調整してきましたが、ここで反発できるかどうかに注目できると思います。

一方、香港ハンセン指数も週初は強い勢いでスタートし、約10年ぶりの高値を更新しました。中国本土株の上昇の好影響を受けた他、本土からの資金流入期待がふくらみました。また、中国当局が金融会社に対する外資出資規制を緩和すると発表したことで、その恩恵を受けるとの思惑からアジア保険大手の友邦保険(01299)が大きく買われ相場を牽引しました。前述の中国の弱い経済指標をきっかけに14~15日は軟調な推移となったものの、16日(木)に本土保険株やテンセント(00700)が牽引する形で反発に転じると、17日(金)は欧米の株式市場の大幅上昇をうけて続伸となり、再び年初来高値を更新してきました。

以上、上海総合指数は調整となりましたが、長期上昇トレンドは崩れていないと思われます。今週、上海総合指数が50日移動平均線でしっかり反発できるかどうかに注目したいところです。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)