先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初の10月30日(月)から軟調な展開。6営業日続伸のあとだっただけに、利食い売り圧力が高まったことと、決算内容の悪かった招商銀行などが下げを牽引しました。一方、長期金利が上昇していることから、運用が堅調になるとの見通しで保険セクターは全般的に高く、週を通して好調でした。31日(火)は小反発。10月の中国製造業購買担当者景気指数が51.6と、予想の52.0や9月実績の52.4を下回ったことが嫌気されて前場はマイナス圏で推移したのですが、後場に第3四半期の決算が良い銘柄が買われてプラス圏に持ち直しました。

11月1日(水)も小幅続伸。この日発表された10月のCaixin中国製造業景況感指数は51.0と、予想や9月実績と同じでしたが、景気が失速するのではないかとの懸念を払拭する上ではプラスに働きました。しかし、11月2日(木)と3日(金)は下落。特に大きな材料が出たわけではなかったのですが、中央銀行が公開市場操作を見送ったことで市場心理が悪化した様子です。もっとも、3日(金)は安値から切り返して引けています。長い下ひげを付けており、上昇トレンドは崩れていないことを示唆しているように思います。上海総合指数は前週末比で1.3%安の3,371.744ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数も週の前半は利食い売り圧力がかかったことと、中国本土株が軟調だったこと、10月の中国製造業購買担当者景気指数が弱い数字になったことから軟調な展開でした。しかし、後半はしっかりとした展開でした。これは欧米の株式市場の強い地合を受け継いだことと、次期FRB議長にハト派のパウエルFRB理事が指名されたことから、米国の利上げペースが緩やかになるとの見方が広がったことが原因です。香港ドルは米ドルにペッグしており、米国の政策金利の動向は香港経済や香港株に大きく影響するためです。香港ハンセン指数は前週末比0.6%高の28,603.61ポイントで引けています。

引き続き横ばいの動きが続く中国株ですが、決して弱い値動きではなく、上昇トレンドが続く中での日柄調整といった印象です。今週は8日(水)に中国の10月の輸出(前年比)<市場予想+16.5%、9月実績+18.7%>が発表される予定ですが、予想を上振れる数字が発表されれば株価が上昇基調に戻れるキッカケとなる可能性があります。その他では9日(木)に10月の消費者物価指数(前年比)<市場予想+1.8%、9月実績+1.6%>と生産者物価指数(前年比)<市場予想+6.5%、9月実績+6.9%>が発表されます。こちらも生産者物価指数が強い基調となれば株価上昇のキッカケとなる可能性があります。

コラム執筆:戸松信博

(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)