「コミュニケーションは飽きる」−私は強くそう思っています。ある形でコミュニケーションしていると、うまく伝わらなくなります。そこで目新しい方法でコミュニケーションを取り始めると、最初はうまく行くのですが、数週間でまたうまく伝わらなくなります。人はすぐにコミュニケーションに飽きてしまうのです。

但しこれは全員ではありません。しかし必ずある割合の人が、コミュニケーションに飽きてしまいます。これはアリが100匹いると20匹は怠け者で、その20匹を取り除くと、また残りの80匹のうち20%が怠け者になってしまうのに似ています。そもそも人はコミュニケーションを嫌ってきたのではないかと思うこともあります。

中世の教会が聖書を伝承することにより権威を保ち、印刷の発明によって宗教革命が起こったように、或いは日本でもお役所が極端に分かり辛い文章を書かせることによって権威を保とうとしたように、コミュニケーションの断絶は、しばしば自らの防衛のために使われることがあります。そして自己防衛は、人の本能でしょう。ですからコミュニケーションに飽きるという現象は、不可避なのではないでしょうか。

コミュニケーションに飽きさせないためには、期待を裏切るしかないと思っているのですが、これには解答はなく、これからも模索を続けるでしょう。コミュニケーションはビジネスに於いてもプライベートに於いても、何にも増して重要なものだと思っています。