マサチューセッツ工科大学(MIT)の叡智を結集して、全く新しい視点から高性能スピーカーを開発してきたあのボーズ(BOSE)が、今度はなんと高級車用のサスペンション市場に参入するそうです。う〜む、これは興味津々です。勿論、機械式或いは油圧式のサスペンションではなく、電磁的解法による代物とのことです。既に20年以上開発を進めてきたとのことですから、これは期待出来そうです。電気信号を振動に換えて、音という波を作るのがスピーカーです。今度は道路の凹凸や車体の運動から来る振動やうねりという波を、電気的な仕組みで減衰させ、コントロールするということですから、確かに関連があります。或る意味で、スピーカー・メーカーがマイクを作ったり、無音響ルームを設計するようなものでしょうか。音響メーカーがクルマの分野に進出するというと、ヤマハを想い出します。1887年、オルガンの製作から社を興したヤマハは、1954年にオートバイ製造を始めています。トヨタ2000GTの開発・製作にヤマハが深く関わったこともよく知られています。ヤマハとボーズ、どちらも技術力があり、感性に優れ、そして自由な発想が出来る集団なのでしょう。そのうちフェラーリやポルシェもオーディオの世界に進出するでしょうか?
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。