国語学者の金田一春彦さんが亡くなられました。91歳でした。金田一さんと云うと思い出すのは新明解国語辞典です。詳しくは知りませんが、元々お父様の金田一京助さんが著したこの辞典を後に親子で磨いていったのでしょう。新明解のユニークさ、素晴らしさは既に語り尽くされていますが、知らない方の為に一例を挙げましょう。新明解は普通の学習辞典ですが、【恋愛】の説明も新明解だと「特定の異性に特別の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。(第5版)」となります。何とも愉快・痛快で、味のある解説です。新明解にはアクセントも表記されていて(この部分が主に春彦さんの仕事なのかも知れません)、とにかく日本語という「言葉」を大切に、愛情を持って後生に伝えていこうとする姿勢が感じられます。言葉は生きてますから、用法もニュアンスも表記も、時代と共に変わっていくのでしょう。しかし同時に、保存して伝えていくべき文化というか伝統もあると思います。金田一さんが亡くなられたのは残念ですが、素敵な言葉である日本語は、大切にしていきたいですね。