激しい相場の日にスーパーカーの話もなんですが、さりとて相場の話では暗くなりそうなので、私の好きな「クルマの話」をさせて頂きます。
私はいわゆるスーパーカー世代で、ちょうど小学生の高学年の時に、必死になってジャンプを読んでいた一人です。意図的にスパイラル・マーケティングをしている訳ではないでしょうが、私ぐらいの世代が、各クルマ雑誌などでも特集や方向性の決定をするようになったのでしょう、スーパーカーは最近ちょくちょくネタになります。もちろん私としては、ありがたい限りです。
スーパーカーはスタイリングがカッコイイだけではありません。走る、曲がる、止まる、という性能に関しては、明らかに昔よりも今の方が進化しており、最近の大衆車でも、かつてのスーパーカーに運動性能で引けを取らないものも多くあるでしょう。しかしそれはターボなどのエンジン技術や、タイヤ性能の向上に甘えている部分が多い気がします。かつてのスーパーカーは、高性能エンジンやタイヤがない時代に、速く走り、曲がり、止まるクルマでなければならなかったので、シャシーの構造・形や、人とエンジンとミッション、デフ、タイヤとの関係を真剣に極限まで工夫したものがあります。そういったクルマに憧れます。基本的な構成物の配置関係や重心がしっかりしていると(例えばミッドシップで前後重量配分が半々で、エンジンは縦置きでミッションケースの上ではなくて前に置いてあって重心も低い等)、普段は素直に曲がりますし、一方雨の日やタイヤが磨り減っていても、急ブレーキ時にクルマがぶれないで真っ直ぐ止まります。基礎設計がしっかりしていると、性能が長持ちするし、極限状態にも強いということでしょう。こういうことは、会社にも同じ事が言えるかも知れません。そんな会社を目指したいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。