本日の東証一部の売買高は21億株を超え、売買代金も4日連続で1兆5000億円を超えました。因みに東証一部売買代金が1兆5000億円を上回る連続日数記録は、バブル期のピークである1989年の11月28日から12月7日までの8日連続以来、何と14年3ヶ月ぶりとのことです。市場における流動性の重要さは何度も何度も書いてきましたが、これは本当にいいことです。流動性はそれ自体に価値があり、流動性の高い資産は「売り易いが故に買い易く」なり、通常、値が上がっていくものです。売り易い車種の方が、中古車市場で値が高いのと同様です。また、流動性・売買代金が高いということは、それだけ多くの投資主体がその資産の値付けに関わっているということであり、それは当該資産の値段に納得を持つことに繋がります。それは市場価格の妥当性を高め、市場の歪みを減らし、市場の信認を高めることになります。そうすると、資産価値にも更なる上昇の余地が生まれてきます。今回の流動性の上昇には、個人投資家も大きく関わっていることでしょう。このことも、一部の機関投資家でなく、大勢の一般投資家の注目する中で市場が形成されていくという意味で、市場な健全な発展に繋がり易いと思われます。まだまだ柔らかい新芽のような状態ですが、変な妨害に遭わずに、しなやかな枝となって伸びていくことを望みたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。