竹中大臣率いる金融庁は、東京三菱銀行を除く大手銀行などに業務改善命令を出しました。「当期の利益が計画に比べて大幅に未達のところに対し、収益の改善計画の提出を求めるもの。公的資金が注入され国民負担が発生している銀行に対し、そのようなことを求めるのは当然の責任だと思う」と竹中大臣は答えたそうですが、今後どのような影響が考えられるでしょうか。
大手銀行はその資本の5割内外をいわゆる税効果資本に頼っています。税効果資本とは、簡単に言うと、多目に払ってしまった税金が、将来利益が出るとそれに対する税額の範囲内で戻ってくると見込んで、その額を資本として扱うものです。通常、税効果資本は将来5年分について認められていますが、りそなのケースでは利益を上げる実現蓋然性が低いとして3年分しか認められないことになり、それが実質国有化への引き金になったことは記憶に新しいところです。銀行はここ数年の欠損金が膨大でしたから、恐らく将来の利益パンパンにまで税効果資本が見込まれているでしょう。ということは、将来の収益計画が下方にずれれば、当然戻ってくる税金も減少し、税効果資本もそれだけ減ります。業務改善命令が出る条件は、収益計画を3割以上下回った場合です。計画の7掛けしか利益がなければ、返ってくる税効果資本も7掛けです。5年分でなくて、3年半分です。
りそながあり、今度は業務改善命令。竹中大臣の詰め将棋はビシッ、ビシッと決まっているように私には見えます。銀行を潰す為ではありません。「銀行は潰さない」という強い意志は、イラク戦争の戦費と同額の2兆円をりそなに使うことにより、明らかにしていますから。今回の業務改善命令は、当該銀行に真の構造改革を迫るものでしょう。銀行自らの構造改革は、銀行自身の為であり、日本経済の為であり、社会の為だと思います。私はこれはいいニュースだと思います。銀行株を含めた金融株の本格的な回復なしに、株式市場の本格的な回復もないでしょう。銀行の構造改革が進み、世の中全てがポジティブな回転に入っていくことを切に願います。
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