アメリカの革製バッグのブランドであるコーチの業績が急伸したそうです。昨日アメリカで発表された4−6月期の業績は、売り上げが35%増、しかも7割以上の増益で、最大の貢献は渋谷など日本における出店分の売れ行きだということです。しっかりとした数字は覚えていませんが、ルイ・ヴィトンの売り上げも全世界の過半が日本であり、海外店における日本人の購入分も含めると、全体の7割以上になるというような話を聞いたこともあります。
これらの多くの利益は本国(アメリカやフランスなど)企業に還元される筈ですが、このような海外企業の日本人向け売り上げを全部足しあげるといくらぐらいになるでしょうか。日本はFDI(国内直接投資における外国資本割合)が約1%と極端に低いのですが、一方でこのような形での外資に対する資本環流は巨大でしょう。もちろん製品に魅力があるから売れる訳で、日本企業ももっと日本人向けに魅力のある製品を作らなければいけない、というのが筋ですが、国内消費の趣向がちょっと変わるだけでも、日本経済に対する影響はそれなりにあるのではないかと、いつも思っています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。