警官が空に向かって発砲する威嚇射撃。あの弾は一体どこに行ってしまうのでしょう?上に向かって発射された弾は重力加速度によってブレーキが掛かり、やがて上空の或る一点で止まり、再び重力加速度によって今度は加速されて落下してきます。勿論空気抵抗によって上りも下りもブレーキが掛かり続けますが、基本的には初速度と戻ってきた時の速度は同じ大きさの筈ですから、相当の速さです。人や車にでも当たれば、それは至近距離から撃ち込むのと同じインパクトの筈です。しかしそのような事故を聞いたことがありません。警官は勿論どこに弾が落ちてくるかを考えて発砲するのでしょうが、それにしても一回も斯様な事故が起きないというのは不思議です。
考えられるのは、空から見ると実は殆どの面積は「地面」であって、確率的に滅多に人や車に当たらないということでしょうか。そもそも威嚇射撃自体が極めて稀な事でしょうから、そのような事故は通常には認識・記憶されない・・。「起きない」ということと「認識される頻度では起きない」ということの違い。世の中、何事も完全な100%というものはないというのも事実ですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。