先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続伸、香港ハンセン指数は反発と、久しぶりに揃って強い基調となりました。中国本土市場は各指数とも年初来高値を更新。上海総合指数は3月20日(金)まで8日続伸で、金融危機後、2009年につけた高値を上回りました。株価上昇の原動力となっているのは中国政府による政策期待です。閉幕した全国人民代表大会の記者会見で李克強首相が必要に応じて的を絞った景気てこ入れ策を行う用意があると述べたことから追加の景気刺激策への期待が高まっています。

前回もお伝えしましたが、ここのところ全体として中国経済の弱さを示す経済指標が発表され続けています。先週も2月の中国70都市の不動産価格の推移が発表されましたが、新築住宅平均価格で上昇したのは1都市もなく、変わらずが1都市、下落が69都市と厳しい結果となりました。しかしその厳しい結果が景気刺激策への期待に繋がっているという構図です。今週は3月24日(火)に3月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)、3月27日(金)に1-2月の中国工業セクター利益(前年同期比)がそれぞれ発表されます。2014年12月の中国工業セクター利益は2011年以来の大幅なマイナスとなっており、中国の経済成長を長らく牽引してきた工業セクターが苦況に陥っていることを浮き彫りにしました。1-2月の実績でどのような数字がでてくるかは特に注目だと思います。

香港市場も中国の追加景気刺激策への期待感から強い相場展開となりました。ただ、欧米の株式市場の影響を受けたことから中国本土の株式市場よりは弱い推移となっています。個別銘柄では時価総額の大きな、中国のインターネット大手のテンセント(00700)が好決算を発表し、株価が大きく上昇して相場を牽引しました。その他では中国平安保険(02318)も好決算を受けて大きく上昇しています。今週も引き続き中国の政策を期待した堅調な相場展開が期待できそうです。

コラム執筆:戸松信博