選挙直後の11月4日に原油価格は急落=株価はまちまち
米中間選挙では、トランプ米大統領の与党共和党が、上下両院で過半数を大きく割り込むという歴史的大敗となった。この結果に対する過敏な反応の一つとして、原油価格の急落が挙げられるだろう。WTI(ウェストテキサス・インターミディエイト)は11月4日だけで最大8%程度の急落となった(図表1参照)。
一方で、11月4日の株価の反応は日経平均が大幅に下落したのに対し、米国ではNYダウ、ナスダック総合指数ともに大きく上昇するなど、まちまちな展開となった。またAI株高を象徴する指数と位置付けられているフィラデルフィア半導体(SOX)指数の反応は相対的に鈍かった。そして、主要な株価指数が大きく上昇する中で、米10年債利回りは低下した。
以上のように見ると、中間選挙の結果に対する11月4日の株価や金利の動きをうまく説明するのは難しい。具体的に言えば、中間選挙での与党大敗は、株価にとって悪材料だったのか好材料だったのかわからない。
これに対して、原油価格の急落は、選挙の結果を受けてイラン戦争において米国が軍事的な強硬策を取りにくくなり、停戦・緊張緩和の方向に傾く可能性を織り込む動きだろう。今回の選挙結果に対して、金融市場がこの先最も確率の高そうなシナリオとして反応したのは、イラン戦争リスクの低下シナリオということだったのではないか。
イラン戦争の終結は金利低下要因
では、今回の選挙結果を受けて、イラン戦争が停戦や緊張緩和の方向に向かった場合、それは他の金融市場にどう影響するだろうか。まず金利は低下する可能性が高いのではないか。そもそも米国をはじめとする世界的な金利上昇は、2月末の米国等によるイラン攻撃の後から広がったものだったからだ(図表2参照)。
その金利上昇は、4~5月に停戦交渉が本格化した局面で、金利低下に転じることもあった。今回の中間選挙の結果を受けて、改めてイラン戦争の終結を模索するならやはり金利は低下する可能性があるだろう。では、為替にはどう影響するか。
イラン戦争終了と金利低下は、ともに米ドル買いの見直し要因
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(主要な非米ドル5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)は、2月末のイラン攻撃開始後から買い越しが拡大し、停戦期待などの局面で縮小する場面はあったものの、9月以降の世界的な長期金利上昇局面では買い越しが再燃した(図表3参照)。
以上のように見ると、イラン戦争と、それが大きく影響した世界的な長期金利上昇は、ともに米ドル買いの要因になった可能性がありそうだ。そうであれば、イラン戦争終結の可能性と世界的な長期金利低下は、米ドル買いを見直す要因となる可能性が高いのではないか。
