モトリーフール米国本社 – 2026年11月3日 投稿記事より
AIインフラを牽引する2大銘柄:設計のブロードコム[AVGO]と製造のTSMC[TSM]
ブロードコム[AVGO]の株価は過去3年間で300%近く上昇しており、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]は過去370%の上昇を遂げました。
両社ともAIインフラ構築において重要な役割を果たしていますが、事業内容は大きく異なります。ブロードコムは、テクノロジー企業による高性能AIシステムの構築を支援するカスタムAIアクセラレータやネットワーキングチップを設計しています。一方、TSMCは、ブロードコムのような企業が設計する先端チップを製造しています。この違いは、二社を比較する上で重要なポイントとなります。
ブロードコムの成長ストーリーは魅力、一方で留意すべき競争リスクとは?
ブロードコムには高く評価できる点が数多くあります。同社はAIインフラ分野の主要企業へと成長し、世界最大級のテクノロジー企業数社にカスタムアクセラレータやネットワーク技術を提供しています。
ブロードコムは、特定用途向け集積回路(ASIC)と呼ばれるカスタムチップを製造しています。ハイパースケーラー(大規模クラウドサービス事業者)は、エヌビディア[NVDA]の汎用画像処理ユニット(GPU)に全面的に依存するのではなく、ブロードコムと協力し、独自のAIワークロード向けに設計されたプロセッサーを開発できます。
それにより、特定の用途において、より高い性能と効率を実現できます。企業がAIインフラ構築に数十億ドルを投じるなか、わずかな効率改善でも大幅なコスト削減につながる可能性があります。そして、ブロードコムは半導体製品やインフラソフトウェアなど、AI向け以外の分野における収益源も持っています。
ただし、注意すべき点もあります。ブロードコムのカスタムAIチップ事業は、顧客が独自プロセッサーへの投資を継続することを前提としており、エヌビディアや他のチップ製造企業との競争にもさらされています。ブロードコムの成長機会は大きいものの、同社のAI事業に対する期待も大きく膨らんでいます。別の選択肢として、TSMCへの投資を通じて同じAI需要の恩恵を受けることもできます。具体的に見ていきましょう。
TSMCは各社が必要とするチップを製造、競争の行方に関わらず恩恵を受ける強み
TSMCの最も魅力的な特徴の一つは、どのチップ設計企業がAI分野における最大の勝者となるかを予測する必要がないことです。これは、TSMCがエヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]、アップル[AAPL]、ブロードコムなどの企業向けにチップを製造しているためです。これらの企業は半導体市場の異なる分野で競争していますが、いずれもTSMCの製造能力に依存しています。
そして、TSMCは際立った競争優位性を備えています。先進半導体製造には巨額の設備投資、高度な製造装置、そして長年にわたり生産プロセスを改良してきた経験が必要です。チップ設計を開発するだけでも十分に困難ですが、それらのチップを数百万個単位で一貫して高い歩留まりで製造することは別次元の難題です。
TSMCは何十年もかけてそのノウハウを築き上げてきました。そして、専業ファウンドリ市場における同社の支配的地位は、競合他社が追いつくことの難しさを示しています。TSMCは2025年に1万2,600種類以上の異なる製品を製造し、300以上の異なるプロセス技術を使用しました。
チップ設計企業がより微細で先進的な製造プロセスへ移行するなか、TSMCの製造面での優位性はとりわけ大きな価値を持ちます。最先端チップを大規模に量産できるTSMCは、より高速で電力効率に優れたプロセッサーを目指す企業にとって欠かせないパートナーです。
ブロードコムはカスタムAIチップの新規顧客を獲得する可能性があります。エヌビディアはAIアクセラレータ分野で支配的地位を維持するかもしれません。AMDがシェアを伸ばす可能性もあります。いずれの展開となっても、TSMCは恩恵を受けられる立場にあるのです。
今後5年間の投資対象としてTSMCが選ばれる理由
もちろんTSMCにもリスクがないわけではありません。生産能力の拡大や新たな製造技術の開発には巨額の投資が必要です。また、米アリゾナ州での大規模投資を含む国際展開は生産拠点の地理的分散につながる一方、それらの施設の建設・運営にはより高いコストが伴います。
それでも、長期的なビジネス上の立ち位置はTSMCの方が魅力的だと考えます。ブロードコムの成功は、カスタムチップ設計の受注を獲得し、主要顧客との関係を維持できるかどうかにある程度かかっています。一方、TSMCは、はるかに幅広い半導体設計企業からの需要を取り込める立場にあります。
とはいえ、TSMCもAI関連支出の減速から影響を受けないわけではありません。先端チップへの需要が減少すれば両社に影響が及ぶはずです。また、優れた事業を展開する企業であっても、株価のバリュエーション次第では、必ずしも魅力的な投資対象になるとは限りません。しかし、5年間の保有を前提とするなら、どのチップ設計企業が最も多くのビジネスを獲得するかに賭けるよりも、チップを製造する企業を選択したいと考えます。
ブロードコムは大きな成長ポテンシャルを秘めた卓越した半導体企業です。しかし、同社がAI分野で最大の勝者の一角になったとしても、先端チップの製造を担う企業を必要とすることに変わりはなく、その有力候補となるのがTSMCなのです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Patrick Sandersは、エヌビディアの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、アップル、ブロードコム、エヌビディア、TSMCの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。
