玩具市場は6年連続の成長、カードゲームやトレーディングカードの伸びが牽引

8月27日から30日にかけて東京ビッグサイトにて「TOKYOおもちゃショー2026」が開催されます。前半2日間は商談見本市、後半2日間は一般公開が予定されており、190社が手掛けた約35,000点のおもちゃが展示されます。2025年は7万人を超える来場者を動員しました。おもちゃ市場は金額面でみても2023年度に初めて1兆円を超え、近年拡大を続けています。そこで今回はおもちゃ業界にフォーカスしてみたいと思います。

日本国内の玩具市場は2025年度に1兆1664億円と、前年度比6.3%増で6年連続過去最高を更新しており市場の拡大が続いています。前年度からは約690億円の成長でしたがそのうち約359億円は「カードゲーム、トレーディングカード」が占めています。また、このカテゴリが市場全体の売上高の30%近くを占めています。

また、カプセルトイ市場は2025年度で約1960億円となっており前年度比39%増と急成長していることから玩具市場の現状を中心に、カプセルトイ市場についても紹介。

【図表1】日本国内の玩具市場規模及び15歳未満人口の推移(2006年~2025年、単位:千人)
出所:玩具市場規模は日本玩具協会資料より、15歳未満人口は国連経済社会局「世界人口展望2024年改訂版」よりマネックス証券作成。2024年、2025年の人口は国連経済社会局の推計値を使用。

「キダルト」の存在を背景に、ハイテク系トレンドトイやぬいぐるみも高い成長率

日本玩具協会の調査によれば2025年度における玩具の種類別売上高は、カードゲーム、トレーディングカードが前年度比11.9%増、ハイテク系トレンドトイが同15.5%増、ぬいぐるみが同38.2%増と大きく成長しています。

この大きな成長の背景として考えられるのが「キダルト」の存在です。キダルトとはKid(子ども)とAdult(大人)を組み合わせた造語であり、子どもの頃に親しんだ玩具やキャラクター、ホビーを大人になっても趣味として楽しむ人々のことで、近年、玩具は大人の趣味としても存在感が増しています。

総務省の家計調査によれば玩具への支出額は全体として増加傾向ですが、特に単身世帯の伸びが顕著で、2025年は13,004円となっており2020年(5,503円)から約136%増となっています。他方、子どもがいる世帯を含む2人以上世帯に関しては2025年が10,563円と、2020年(8,786円)から約20%増となっています。

なお、ハピネット(7552)が行った「キダルト」に関する調査によればキダルト層が最も購入したものは「ぬいぐるみ」で、次いで「コレクショントイ」となっており、近年の市場における成長率が高い玩具と一致しています。

カードゲーム、トレーディングカードが成長を牽引

冒頭でふれたように、市場拡大の牽引役で規模も日本玩具協会の13分類で最も大きい「カードゲーム、トレーディングカード」についてみると、2015年度には約960億円だった市場規模が10年で約3.5倍の3384億円まで成長しています。

具体的には「ポケモンカードゲーム」(ポケモン、非上場)や「デュエル・マスターズTCG」(タカラトミー)(7867)等が主に成長を牽引しました。また、ハイテク系トレンドトイも同様に高い成長率となっており、「Tamagotchi Paradise」(バンダイナムコホールディングス)(7832)や「マイクロペット」(タカラトミー)等が主に成長に寄与しました。

タカラトミー(7867)、「デュエル・マスターズTCG」や「マイクロペット」が好調

タカラトミーはデュエル・マスターズTCGを含むアクショントイの売上高が2026年3月期で前年比15%増の489億円となっています。会社全体では、売上高が同8%増の2700億円、1株当たり利益(実績)は131.34円となっています。ただし、これは連結子会社ののれん減損損失の影響で減少した値となっています。

【図表2】タカラトミー(7867)の株価と予想EPSの推移(2021年8月~2026年7月)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

バンダイナムコホールディングス(7832)、たまごっちやカプセルトイが成長

他方、バンダイナムコホールディングスは、たまごっちや後述するカプセルトイを含む主力のトイホビー事業の売上高は2027年3月期に6900億円と2026年3月期(6739億円)からの成長が見込まれています。会社全体では、2026年3月期は売上高が前年比8.6%増の1兆3482億円となっており、1株当たり利益は217.49円でした。

【図表3】バンダイナムコホールディングス(7832)の株価と予想EPSの推移(2021年8月~2026年7月)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

キダルトやインバウンドの存在を背景に、カプセルトイ業界も成長

ここまで日本玩具協会が公表しているデータをもとにおもちゃ市場の動向と関連企業についてみてきましたが、他の統計からは局所的な急成長も確認できます。日本カプセルトイ協会によると2025年度のカプセルトイ市場規模は前年度比39.0%増の1960億円と拡大しました。また、店舗型専門店は全国で900店舗以上あり前年度から200店舗以上増加しています。

参入障壁が高いカプセルトイベンダー

そして、カプセルトイメーカーは比較的参入障壁が低いのに対し、カプセルトイマシンを確保し、機械を設置する必要があるカプセルトイベンダーは参入障壁が高く既存の企業間の競争に限られ、競争環境に大きな差が生じています。

例えば、カプセルトイの中間流通の大手であるハピネット(7552)の決算資料を見ると、カプセルトイを主力とするアミューズメント事業については2026年3月期の営業利益率が7.9%となっているのに対し、全社では営業利益率が3.6%となっています。セグメントに分類されない利益が計上されているほか、このセグメントには卸売と自社の店舗運営と両方が含まれているためカプセルトイベンダーの利益率は明示されていませんが相対的に利益率が高い可能性を映しているかもしれません。

【図表4】ハピネット(7552)の株価と予想EPSの推移(2021年8月~2026年7月)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成

参入障壁が低いカプセルトイメーカー

一方で、カプセルトイメーカーは参入障壁が低いため大手から中小まで数多の企業がひしめいています。例えば、大手では前述のバンダイナムコホールディングスも参入しています。カプセルトイが含まれるトイホビーセグメントの利益率は18.8%と比較的高く、ここにはトレーディングカードゲームやプラモデルなどのハイターゲットトイ(大人向け高価格帯玩具)も含まれているものの、2025年の統合報告書ではカプセルトイも好調であった旨が記載されています。

このように、製品を企画・生産するメーカーと、販売網や設置運営を担い顧客に届ける事業者の間には競争環境に差があることを意識しておくと、カプセルトイに限らずおもちゃ業界全体を研究するうえで一つのヒントになりそうです。

意外と高い?カプセルトイ価格、インバウンドも追い風に

また、商品価格を見るとカプセルトイは低価格のイメージもあるかもしれませんが、200円以下の商品は10%以下と、ほとんどが300円以上の商品となっています。カプセルトイ利用者の年齢層をみると、ハピネットの調査では「大人になってからカプセルトイを購入したことがある人」の割合は35.0%に及んでおり、キダルトの存在が高い客単価を実現していると考えられます。

加えて、インバウンドが増えていることも追い風となっています。「ガチャ」ブランドを展開するタカラトミーアーツは成田空港や関西国際空港にマシンを設置し、積極的にインバウンドの需要を獲得しています。日本カプセルトイ協会の調査によれば人気の観光地周辺では、カプセルトイ利用者の半数以上をインバウンド客が占めているとの結果もあります。訪日観光客によるSNS発信が増えることで旅行の動線上で自然と利用してもらうことが期待できます。

コスト高も価格転嫁で事業の成長に

キダルトの取り込みの重要性はカプセルトイに限らず玩具市場全体に言えるものではないかと筆者は考えています。足元で成長している分類はカードゲーム関係のほかハイテク系トレンドトイやぬいぐるみといった大人をターゲットにしたものです。ここを伸ばすことでおもちゃに限らず多くのモノの値段が上昇している中で、コスト高を価格転嫁することができると考えられます。それが各企業の競争優位性、業績の成長性につながるとみられ、各社の今後の取り組みが注目されます。

今回は活況であるおもちゃ業界について紹介しましたが、高市内閣が掲げている日本成長戦略の17分野では「コンテンツ」の項目でおもちゃと関連性を有する分野に注力する方針が示されています。「先行して検討を進めている製品・技術等」は「ゲーム」とされているものの、様々なIPにも政府として力を入れていく方針が示されています。今後は日本政府が注力している戦略分野という観点での調査もご紹介する予定です。

【図表5】今回取り上げた銘柄の主な情報(2026年8月18日時点)

出所:銘柄スカウター、ブルームバーグよりマネックス証券作成
企業名 証券コード 時価総額 予想PER PBR 実績配当利回り ROE 1ヶ月騰落率 年初来騰落率 1年騰落率
タカラトミー (7867) 3359億円 17.3倍 2.84倍 1.78% 10.74% 1.60% 30.10% 1.70%
バンダイナムコHD (7832) 3兆4456億円 26.4倍 3.87倍 1.37% 17.01% 27.50% 29.00% -3.80%
ハピネット (7552) 1705億円 14.6倍 2.61倍 2.61% 17.54% 14.20% 20.40% 10.78%

出所:銘柄スカウター、ブルームバーグよりマネックス証券作成

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 荒谷 義孝)