2026年7月31日(木)8:50発表
日本 6月分鉱工業生産指数、ほか
【1】結果:国内マクロは消費を中心に堅調さがうかがえる
2026年6月の鉱工業生産指数は前月比1.3%増と生産拡大が確認されました。3ヶ月連続で上昇しており、先行きもこのモメンタムは継続すると見込まれています。企業の生産活動は、ある程度堅調だと言えるでしょう(図表1-1)。一方、出荷は前月比0.4%減と小幅に減少したことで、在庫は積み増されています(図表1-2)。
消費も堅調さがうかがえる動きとなっています。図表2は消費動向を需要サイド・供給サイドから捉える2つの指数(※)で、直近データからはそれぞれ上昇基調で推移していることがうかがえます。発表まで時間差のある指標のため最新データが2026年5月分ですが、移動平均から見られるトレンドは2指数ともに上昇しており、ここから前四半期(2026年4~6月期)のGDP個人消費はある程度強さのある数字が出ると見込まれます。
【2】内容・注目点:半導体はマクロデータでも踊り場といえる
経済のデータ上の底堅さとは裏腹に、2026年7月の株式市場は日経平均株価が月間で8.1%安、TOPIXが0.2%高と、日経平均の調整が目立ちました。ここまでの上昇を支えた半導体関連銘柄に売りが優勢で、ハイパースケーラー(莫大な処理能力とストレージ容量を要する巨大なデータセンターを自社で設計・運用し、拡張性に優れたクラウドコンピューティングサービスをグローバルに提供する超巨大IT企業)による過剰投資などの懸念が材料視されています。
マクロのデータからも、半導体との関わりが大きい電子部品・デバイス工業における在庫の積み上がりを意識する局面と言えます。具体的には図表3の在庫循環図を確認すると、徐々に(4)の象限から上方に推移していることがわかります。引き合いの強さがある一方で、在庫は徐々に積み上がっていると考えられるでしょう。
在庫循環図とは、在庫と生産の伸び率を散布図で表したもので、反時計回りに推移する傾向があります。また、電子部品デバイス工業は半導体やIC(集積回路)・コンデンサなどで構成されています。
在庫の積み上がり期において念頭に入れておきたい点は、同時期の株価は、過去において期待リターンが相対的に低くなる傾向があったということです。実際に、(4)の位置におけるTOPIX電気機器指数の平均月次リターンは+25.0%であるのに対し、(1)は+13.8%、(2)は-13.5%、(3)は-5.6%と試算されます。在庫の積み上がり方次第では、早晩、(2)の局面への移行も意識されると言え、従来よりもリスクを念頭に入れるべきと考えられます。
【3】所感:台湾や韓国の電子部品デバイスは在庫積み上がりが見られる
加えて、在庫関連の先行きを占う上で重要と言える隣国の韓国・台湾の状況に目を向けても、半導体周りのデータからは低下トレンドがうかがえます。図表4は生産ではなく、出荷動向と在庫を合わせてみたもので、数値がマイナスであれば在庫が出荷を上回ることを表しています。台湾の電子部品関連(Manufacture of Electronic Parts and Components)では、先行して在庫の積み上がりが確認でき、韓国の半導体についても低下基調であり、トレンドからは在庫積み上がり局面への移行が懸念されます。半導体市場の中長期的な成長は、ある程度底堅いと考えられるものの、短期的な縮小サイクル局面は意識するべきと感じています。
国内の景況感においては、主力の電気機器セクターに上述のリスクがある点も踏まえれば、内需関連、特に消費を中心としたサービス関連による底上げが期待できる局面と考えています。株式市場では先立って物色の変化がうかがえ、ポートフォリオのリバランスなどを積極的に考えたいタイミングと言えるでしょう。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
