2026年7月7日(火)8:30発表
日本 毎月勤労統計調査2026年5月分速報

【1】結果:実質賃金は5ヶ月連続でプラス 底堅い推移が定着

2026年5月の名目賃金は、前年同月比3.2%増と前回4月(改定値)から0.4%ポイント伸びが減速しました。基本給にあたる所定内給与が同3.0%増と、同じく前の月から伸びが減速したほか、ボーナスなどにあたる特別に支払われた給与は同5.2%増(4月:同10.3%増)となりました。サンプル替えの影響を除いた、共通事業所ベースの所定内給与は同2.5%増で横ばいとなりました。

【図表1】毎月勤労統計調査2026年5月速報値結果
出所:厚生労働省よりマネックス証券作成、所定内給与は事業規模5人以上、調査産業計

測定に用いられる物価指標(持家の帰属家賃除く消費者物価指数)は2026年に入り、5ヶ月連続で2%を割り込んで推移していることも寄与し、実質賃金は前年同月比1.4%増と5ヶ月連続でプラスとなりました。市場予想は下回ったものの底堅い推移と見なせそうです。また、ヘッドラインの消費者物価指数(総合指数)にて試算された実質賃金は同1.5%増となりました。

【図表2】実質賃金の推移(前年同月比、%)
出所:厚生労働省よりマネックス証券作成、消費者物価指数(持家の帰属家賃除く総合)はマイナス表示

【2】内容・注目点:2026年春闘は3年連続での5%超、賃上げへ

7月3日には2026年の春闘最終集計結果が発表され、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率は5.01%(月額16,400円増)となりました。前年の5.25%は下回ったものの、3年連続で5.0%を超える結果となり、賃金の上昇モメンタムは一定程度継続しているとみなせます(図表3)。

【図表3】春闘賃上げ率の推移(前年同期比、%)
出所:厚生労働省よりマネックス証券作成

春闘の結果を受けて、2026年後半の賃金も、ある程度底堅く推移していくことが見込まれます。継続的な賃上げは、人件費の上昇につながることから労働生産性に変化がないとすれば、企業サイドから見ればコスト増加・マージン圧縮につながります。一方で国内でも財やサービスへの価格転嫁は過去以上に頻繁に行われるようになっており、人件費コストへの懸念は限定的と想定しています。

今後の注目ポイントは、実質賃金のプラスが根付き、それが消費の拡大につながるかにあります。足元では、消費は伸び悩んでおり、これが上向くかに注目しています(図表4、青)。

【図表4】家計調査 実質消費支出・可処分所得・実収入の推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

【3】所感:利上げを後押しする賃金動向/K字型経済も意識される

賃金モメンタムが堅調であるとすれば、政策金利の引き上げ可能性は高まると言えるでしょう。物価の上振れも危惧される中で、緩和スタンスの修正は整合的と考えられます。

一方で死角もあり、今回の春闘でも中小企業の賃上げ率は前年比4.69%と、大企業との賃金格差が指摘できる内容でした。賃上げも含め、金利のある世界が定着してきた日本において、金利コストや人件費コストなど企業側の負担は増加傾向にあると言えます。ゆえに、国内でもK字型経済(※)への移行が意識される局面と考えられます。

※K字型経済=経済や企業業績が成長・好転する層と、停滞・悪化する層とに二極化する現象。前者と後者の景気動向グラフがアルファベットの「K」の文字のように、一部は上向き、残りは下向きに分岐することに由来。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太