2026年6月26日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2026年6月分速報

【1】結果:東京コアCPIは前年同月比1.6%上昇 エネルギーは伸び一服もその他の財に波及

2026年6月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比1.7%上昇と、前回5月の同1.4%から伸びが加速しました。コア指標である生鮮食品を除く総合指数も同様に、前月から伸びが加速し、同1.6%の上昇となりました。コアコアCPIと称される生鮮食品・エネルギー除く総合指数は同1.9%上昇と、3指数そろって0.3ポイント伸びが加速しました(図表1・2)。

【図表1】東京CPI 2026年6月速報値結果
出所:総務省、ブルームバーグよりマネックス証券作成
【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

中東情勢はいったん収束が見え始め、足元では原油価格も落ち着きを取り戻した印象です。現に6月速報値ではエネルギー関連も前月比では1%未満の上昇にとどまっています(図表3)。

【図表3】直近におけるエネルギー構成品目のインフレ動向
出所:総務省よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:財を中心として物価は上昇基調へ

日銀が公表する、特殊要因を除いた物価指標を確認すると、「生鮮食品・エネルギー、特殊要因を除く消費者物価指数(図表4・水色)」が2%台付近までインフレ鈍化の傾向がみられます。一方で、さらに変動性が均される「食料・エネルギー、特殊要因を除く消費者物価指数(図表4・黒色)」は、2%目標から、若干ながら水準を切り下げています。

【図表4】日銀公表 特殊要因を除いたコアインフレ指標(前年同月比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成 ※特殊要因とは、消費税率の変更・教育無償化政策+ガソリンや電気ガス代等の負担緩和策+2021年の携帯電話通信料の引き下げ+旅行支援策の各影響

もっとも、このままインフレ鈍化が続く可能性は低いでしょう。前月も指摘したとおり、実際に、最終需要・中間需要物価指数から、次第に消費者物価指数のインフレ圧力が高まっていくとの見通しによるものです。中間需要物価指数は川上から川下(ID-1からID-4)、最終需要(Final Demand)といったステージごとに財を分類し、それぞれの物価動向を捕捉する指標です。中東情勢に端を発する原油高以降、輸入物価の上昇に沿って、川上の財のインフレ(ID-1など)が確認され、これが次第に川下ないしは消費者物価へ波及し始めています(図表5-1、5-2)。

【図表5-1】輸入物価指数と中間需要物価指数(ID-1からID-3まで)の推移(前年同月比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成
【図表5-2】最終需要(FD-ex Exp)・中間需要物価指数(ID-4)の推移(前年同月比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成、FD-ex Expは最終需要(除く輸出)指数

【3】所感:市場は半年に1回のペースで利上げを想定/中立水準が近づく中での政策運営

日本銀行は、2026年6月15・16日の金融政策決定会合にて、0.25%の政策金利引き上げを決定し、政策金利は1995年以来となる1.0%となりました。図表4にあるように、一部指標では基調的な物価が目標とする2%付近で安定的に推移していると判断しづらい状況です。金融政策決定会合でも指摘されるように、昨今は過去よりも価格転嫁の動きが活発化しています。このため、財のコスト増を消費財へ転嫁していく動きは、今後も進むと考えています。

市場は概ね半年に1回の頻度で追加利上げを見込んでいる状況です。筆者もこのペースは妥当なものと想定していますが、目先の課題として、中立水準まで政策金利を引き上げる過程で生じる経済への影響や緩和スタンスを好む現政権とのコミュニケーションなどが挙げられるでしょう。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太