先週(6月1日週)の振り返り=強い米雇用統計の結果を受けて米ドル160円台で越週

日米金利差拡大が後押し=米ドル高・円安、160円を突破

先週の米ドル/円は159円台中心の小動きが続いていましたが、6月5日に発表された米雇用統計が予想以上に強い結果となったことを受けて米金利が大きく上昇し、日米金利差(米ドル優位・円劣位)が拡大したことにともない、米ドル/円も160円台に乗せての越週となりました(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年2月~)
出所:マネックストレーダーFX

6月5日発表の米5月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比17万人の大幅増となるなど、全般的に予想以上に強い結果となりました。これを受けて、米金利は大きく上昇し、金融政策を反映する日米2年債利回り差はこの間の最高水準を更新、2.7%以上に拡大し、米ドル/円の160円突破を後押しする要因となりました(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米0.25%利上げ2回目の織り込みも始まる=ただ株安も波乱含みに

米金融政策を反映する米2年債利回りは、この雇用統計発表を受けて4.16%まで上昇しました(図表3参照)。これは、米国の政策金利であるFFレートの誘導目標上限である3.75%を0.41%上回るため、金利市場がこの先0.25%の利上げ1回にとどまらず、2回目も織り込み始めたことを示す動きと言えるでしょう。

【図表3】FFレートと米2年債利回り(2020年~)
 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

原油価格の高止まりなどを受けてインフレ再燃への懸念がある一方、雇用市場の悪化など景気減速懸念が後退する中で、FRB(米連邦準備制度理事会)は複数回の利上げに踏み切る見通しとなるのか。それは、米ドル/円のこの先の見通しを考える上でも重要な要因になるでしょう。

6月5日、米雇用統計発表を受けて米金利が大きく上昇し、米国の主要な株価指数は軒並み急落しました。ナスダック総合指数の下落率は4%以上となり、フィラデルフィア半導体指数、いわゆるSOX指数の下落率に至っては10%以上の暴落となりました。米金利の上昇が、米国株の「上がり過ぎ」修正のきっかけになったようです。この先米国株安が拡大に向かうようなら、それが逆に米金利上昇や米ドル高を抑制する可能性もあるでしょう。

再び介入との攻防に注目=投機円売りも拡大

それにしても、米ドル高・円安が改めて160円を超えてきたことで、円安阻止介入を巡る
攻防への注目はいっそう高まりそうです。日本の通貨当局は、ゴールデンウィーク中に米ドル高・円安が160円を超えた際に米ドル売り・円買い介入に出動し、160円以上の円安を容認しない姿勢を示したことから、改めてその姿勢が試されることになるでしょう。

再び160円を超えてきた米ドル高・円安は、日米金利差拡大に沿った動きではありますが、投機筋の米ドル買い・円売りの関与も大きくなっている可能性が高いようです。

代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、売り越し(米ドル買い越し)が6月2日時点で12.9万枚と2024年7月以来の水準まで拡大しました(図表4参照)。

【図表4】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

介入vs投機筋なら120日MA攻防に注目=円売りポジションの損益分岐点

投機筋の円売り越しは、3月前半までは5万枚以下にとどまっていましたが、4月以降は10万枚前後に拡大するなど、米ドル高・円安への関与が大きくなってきたことが分かります。当局は、円安阻止の理由として「ファンダメンタルズからかい離した投機主導の円安を容認しない」ことを挙げていることから、介入を再開した場合はこの投機筋の円売りを円買いに転換させることを1つの目的として動く可能性が高そうです。

ヘッジファンドの円売りポジションの損益分岐点の目安である120日MA(移動平均線)は足下で157.6円まで上昇してきました(図表5参照)。その意味では、円安阻止介入を再開した場合、157.6円より米ドル安・円高となり、投機筋が円売りポジションの損失拡大を回避するため、円買い戻しに転換するかが大きな分岐点になるでしょう。

【図表5】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今週(6月8日週)の注目点=円安阻止介入との攻防なら荒い展開か

ECBは利上げの可能性=米CPI等インフレ指標発表に注目

今週は6月11日にECB(欧州中央銀行)の金融政策発表が予定されています。利上げを決めるとの見方が多いようですが、予想通り利上げとなると、同じ主要な中央銀行の中で利上げの先例ができたことで、翌週の日銀も利上げを決めやすくなる可能性があるでしょう。

また、米経済指標の発表では、CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)などインフレ指標の発表が注目されます。雇用統計の結果を受けて一段と高まった米利上げ予想をさらに後押しすることになるかが焦点でしょう。

今週(6月8日週)の米ドル/円は156~161円で予想

今週の米ドル/円は、再び160円まで米ドル高・円安に進んだことで円安阻止介入との攻防が最大の焦点になります。介入を行った場合、経験的には一日で4~5円、米ドル安・円高に戻す可能性が高いでしょう。ただ根強い円安マインドを背景に、投機筋の円売り意欲も旺盛と見られることから荒い値動きになる可能性が高そうです。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は156~161円で予想します。