先週(4月13日週)の振り返り=イラン戦争停戦の可能性が浮上、一時157円台へ米ドル反落

日米金利差は縮小続く=インフレ対策の利上げは米国より日欧が早まる

先週は、米国とイランの停戦の可能性が浮上し、原油価格が急落すると、原油などエネルギー供給懸念などが起因となっていた米ドル買い・円売りが逆流し、米ドル/円は一時157円台後半まで反落しました。ただ、ホルムズ海峡封鎖が続き、エネルギー供給への懸念が払しょくされない中で米ドル買い・円売りが再燃し、米ドル/円は159円台まで反発しました(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年1月~)
出所:マネックストレーダーFX

先週は、引き続きイラン情勢に振り回される展開が続きましたが、その一方で日米金利差(米ドル優位・円劣位)は縮小傾向が続き、金利差の観点からは一時期より米ドル高・円安が広がりにくくなってきた可能性がありそうです(図表2参照)。これには、米国の利上げの見方が一時期に比べて後退する一方で、日本では4月の日銀金融政策決定会合で利上げが行われるとの見方が増えている影響があるでしょう。

【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

日米欧の政策金利を見ると、経済に対して中立な金利である「中立金利」を上回り引き締めの位置にあるのは米国だけで、日欧はそれを下回る緩和の局面にありそうです(図表3参照)。

その意味で、今回のイラン戦争を受けたインフレ再燃リスクへの対応は、日欧と米国では差が出る可能性があります。具体的には、日欧は米国よりインフレ対策としての利上げを急ぐ可能性があるでしょう。その場合、金利差の観点からは米ドル高を抑制することになるのではないでしょうか。

【図表3】日米欧の政策金利の推移(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

投機筋の円売り越し10万枚近くに拡大=徐々に円「売られ過ぎ」に

金利差が縮小している割に、米ドル買い・円売りが根強い一方で、短期売買を行う投機筋の影響が大きくなっている可能性もあります。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、4月4日時点で売り越しが9.3万枚に拡大しました(図表4参照)。経験的に売り越しの10万枚以上は「行き過ぎ」圏なので、徐々に米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念も強まってきたのではないでしょうか。

【図表4】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米国とイランの間で停戦の可能性が浮上すると、160円程度から一時157円台後半へと比較的大きく米ドル安・円高に戻す場面がありました。これは行き過ぎた投機的米ドル買い・円売りの反動も入りやすくなっていた影響もあったと考えられます。

今週(4月13日週)の注目点=約1ヶ月続く、158~160円中心のレンジをどちらに抜けるか?

158~160円中心のレンジ・ブレークなら一転波乱含みに

今週は、米国とイランの停戦および恒久的な和平の実現を巡る協議の行方を見据えながら、引き続きイラン情勢に過敏に反応する展開となりそうです。

米ドル/円は158~160円中心の不安定な展開がほぼ1ヶ月続いています。一定のレンジ内での動きが長く続くほどエネルギーが蓄積され、そのレンジを抜けた方向に大きく動きやすくなるのが相場の基本です。その意味では、何かの拍子に158~160円を中心としたレンジを抜ける可能性には注意する必要があるでしょう。

この間のレンジを米ドル高・円安方向に抜けた場合、あっという間に2024年7月に記録したここ数年の円安のピークである161円台に接近します。その場合は、これまでの日本の通貨当局者たちの発言からすると円安阻止介入との攻防が注目されることになるでしょう。

161円程度で日本単独での円安阻止はできない=円「暴落」リスク

日本の当局は、2024年7月に単独の米ドル売り・円買い介入によって161円で円安を止めることに成功しました。ただし、米ドル/円の5年MA(移動平均線)かい離率を参考にすると、同じ161円でも当時と最近では米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念がかなり異なることなどから、今回は日本単独で円安を161円程度で止めるのは難しいと思います(図表5参照)。

【図表5】米ドル/円の5年MAかい離率(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

日本単独での円安阻止ができないことが明らかになった場合は、いよいよ円安に歯止めがかからなくなる、つまり円は「暴落」する懸念も出てくるのではないでしょうか。そもそも、2026年に入って最初に米ドル高・円安が160円に迫った1月23日、介入の前段階とされる「レートチェック」を日本だけではなく米国の通貨当局も追随する形で行ったのは、当時からすでに日本単独では円安を止められないことを自覚していたということではないでしょうか。

日米協調介入の場合、米ドル「暴落」=今週(4月13日週)の米ドル/円は157~162円で予想

それでは「レートチェック」にとどまらず、実際の米ドル売り・円買い介入が、日米が協調する形で行われた場合はどうか。その場合は円安が止まるにとどまらず、一転して米ドル安が急拡大するリスクもあるのではないでしょうか。

1月23日に米当局が「レートチェック」すると、米ドルは円以外の通貨、ユーロなどに対しても急落しました。これはトランプ米大統領の国際秩序を無視した言動から広がる米国への不信感、それを背景とした「米ドル離れ」が、米国の米ドル売り介入により一気に噴出しかねない危険を感じさせるものでした。

この間の158~160円を中心としたレンジを米ドル高・円安方向に抜けた場合は、円、米ドルともに抱えた「暴落」リスクが現実化する可能性もあるでしょう。以上を踏まえ、今週の米ドル/円も157~162円で予想したいと思います。