モトリーフール米国本社 – 2025年12月16日 投稿記事より
堅実な配当利回りとAIを原動力とした売上成長を提供しているテクノロジー企業
注目の人工知能(AI)分野には高成長のハイテク株が数多く存在しますが、堅実な配当を提供する銘柄はそれほど多くありません。配当のあるAI企業への投資は、急速に拡大するAI市場の一角を捉えながら、配当金を得る優れた方法でしょう。
魅力的な配当利回りを提供する3つの有力なAI関連銘柄は、IBM [IBM] 、シスコシステムズ[CSCO]、ノキア[NOK]です。この3銘柄に投資することで、投資家は配当を得ることだけでなく、AIエコシステムの様々な分野への分散投資となります。
各企業の詳細と魅力的なAI投資対象である理由について、以下でご説明します。
IBM:配当利回り2.2%、30年連続の増配銘柄
IBMは、2020年にアービンド・クリシュナ氏が最高経営責任者(CEO)に就任後、AIとクラウドコンピューティングに注力する方針へ転換しました。この戦略転換により、IBMの売上高は成長を遂げています。
第3四半期には、売上高が前年同期比9%増の163億ドルに達しました。IBMのAI関連製品を含むソフトウェア部門は前年同期比10%増の72億ドル、インフラ部門は、AI専用に設計された新型サーバー「IBM z17」がZシステム史上最も好調な立ち上げを記録したことを受けて、前年同期比17%増の36億ドルと急伸しました。
IBMの配当利回り2.2%は、AI関連銘柄の中でも非常に優れた水準です。これに対し、AI半導体チップのリーダーであるエヌビディア[NVDA]の配当利回りはわずか0.02%と低水準です。さらに、2025年、IBMは配当を30年連続で増額するという驚異的な記録を達成しました。
この複合企業は、量子コンピューティング技術によって2026年に株価がさらに急騰する可能性があります。2025年11月、IBMは2026年末までに量子優位性(quantum advantage)を達成し、2029年までに耐障害性(fault tolerance)を実現すると発表しました。
量子優位性とは、量子コンピューターが従来型コンピューターよりも正確に、低コストで、効率的に現実世界の問題を解決できる到達点を指します。耐障害性量子マシンは、計算を正確に完了できますが、現在の量子コンピューターはすべて計算エラーに敏感である点が現在の、課題となっています。
これらの目標を達成することで、IBMはAIを飛躍的に進化させるテクノロジーを手に入れることになります。量子デバイスは、現在の最も強力なスーパーコンピュータの能力を超える計算を実行できるからです。
シスコ:配当利回り2.1%、2011年以降連続増配
シスコはコンピュータネットワーク分野のリーダーとして知られています。その強みは、エージェント型AIの台頭によるAI時代において極めて重要です。
シスコのチャック・ロビンスCEOは「自律エージェントによる絶え間ない相互作用で推進されるAIの次段階では、より高速で、より知的で、より安全なネットワークに対する前例のない需要が生まれる」と説明しています。シスコは新製品により、これらの分野における顧客ニーズに応える体制が整っています。
シスコの「Nexus HyperFabric」製品は、同社のネットワークサービスとエヌビディアの先進コンピューティングおよびAIソフトウェアを統合し、人工知能に特化した技術インフラを実現します。また、「Cisco Hypershield」は「真に分散型でAIネイティブのサイバーセキュリティ・ソリューションとして初めてのもの」と同社は位置付けています。
こうしたAIに焦点を当てた製品・サービスは、7月26日に終了したシスコの2025会計年度において、前年比5%増の567億ドルへの増収に貢献しました。この勢いは10月25日に終了した第1四半期においてさらに加速し、売上高は前年同期比8%増の149億ドルに達しました。シスコは、2026会計年度においても継続的な増収を見込んでおり、602億ドルから610億ドルのレンジを予想しています。
シスコの配当利回りは2.1%で、IBMと同水準です。このネットワーク大手は2011年以降、一貫して増配を続けています。
ノキア:配当利回り2.5%、エヌビディアとの新たな提携によりAI無線アクセスネットワークの技術強化で堅調な売上成長を実現
ノキアの配当利回りは2.5%で、この3社の中で最高水準です。同社は10月28日に発表されたエヌビディアとの新たな提携により、AI分野で注目を集めています。
エヌビディアは、モバイルネットワークを5GからAI対応の6Gへ移行する取り組みの一環として、ノキアに10億ドルを投資します。ノキアは、AI無線アクセスネットワーク(以下、AI-RAN)技術の開発を進めています。AI-RANは、AI利用によるセルラーネットワークのトラフィック増加を見据えて構築されています。
2025年2月にCEOに就任し、ノキアのAI戦略を主導するジャスティン・ホタード氏は、この提携の重要性について「エヌビディアとのパートナーシップは、AIデータセンターをすべての人のポケットに入れることができるように、AI-RANのイノベーションを加速させます」と述べました。
AI-RANの開発は急速に進んでいます。2026年には、通信大手TモバイルUS[TMUS]がノキアのAI-RANの試験運用を開始する予定です。
ノキアは近年苦戦しており、2024年の売上高は前年比9%減の192億ユーロでしたが、2025年は状況が一転しています。年初から第3四半期までの累計では、前年同期比4%増の138億ユーロの売上高を記録し、第3四半期のみでは前年同期比12%増の48億ユーロと、堅調な売上成長を示しました。
AI市場の拡大による追い風と優れた配当利回りが相まって、IBM、シスコ、ノキアはAI投資においてリターンを実現するのにふさわしい企業と言えるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Robert Izquierdoはシスコシステムズ、IBM、エヌビディア、TモバイルUSの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はシスコシステムズ、IBM、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はTモバイルUSを推奨しています。モトリーフールは開示方針を定めています。
