早期の円買い介入に否定的=2024年までとは違う

10月の高市政権誕生の前後に急拡大した日本の長期金利上昇と円安。それは先週(12月8日週)にかけてやや一服した感じとなった(図表1参照)。では「長期金利上昇=円安」は終わったのか。これについて為替、金利の政策当局関係者たちはどのように見ているのか。複数の関係者に直接聞いてみた。

【図表1】米ドル/円と日本の長期金利(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

まず為替について。高市政権誕生の前後に150円を大きく超えて急拡大した円安は、これまでのところ157円で一巡した形となっている。円安一巡のきっかけの1つは、高市政権関係者の1人が、円安阻止介入の可能性を示唆したことだった。では円安阻止の円買い介入は行われるのか。

これについて、財務省関係者の1人は早期の円買い介入の可能性に否定的な見方を示した。「介入は“勝つ”必要がある。米ドル/円が160円以下の水準にある中で円買い介入をやっても、市場の円売り圧力に吸収される懸念が高いのではないか。介入をやるとしても、160円を超えて円安がさらに進むような場合に、米経済指標発表のタイミングなどをうまく利用して慎重に行う必要があるだろう」。

このコメントは、2024年の円買い介入前とはかなり違う感じがある。2024年は4月末に160円に達したところで米ドル売り・円買い介入が再開したが、それ以前、150円台前半から介入政策の責任者である財務官経験者の多くが早期の介入の必要性を指摘していた。

これは、2024年と最近では、円安を取り巻く環境の違いが認識されているためではないか。2024年の円安は投機筋の円売りが主導していたのに対し、今回は違う可能性がある(図表2参照)。投機の円売り主導とは異なる今回の円安は、介入では止められない。つまり「勝てない」リスクがあるとして、早期の介入に慎重になっているように感じられる。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

長期金利上昇阻止に余裕なし=12月中にも対応必要か

次に長期金利上昇についてはどのように見ているか。財務省関係者の1人は、「長期金利上昇はまだ油断できないようだ」として、以下のような見方を示した。

「長期債を売って儲けを狙っている人たちがいるようなので、長期金利上昇がまだ続く危険性はくすぶり続けている。それを回避するためには、『責任ある積極財政』の『責任ある』の部分の説明がまだ不十分なので、年内にも何らかの形で示す必要があるだろう。(2026年の)『骨太の方針』まで待つ余裕はなく、12月中に必要だろう」。

高市政権は、11月に「コロナ・ショック」以降では最大規模の経済対策を発表したことで「積極財政」を証明した。その一方でプライマリーバランスの単年度黒字目標を取り下げたことなどから財政規律の低下が懸念され、それらが長期金利の上昇が止まらない原因とされている。

そのような財政規律低下への懸念払しょくにはそれほど余裕はなく、この12月中にもそれができなければ長期金利上昇、債券下落が一段と加速しかねない。そうした危機感が政策当局に近い立場の人たちにもあるという点は興味深い。