最近ふと思い出した、新卒で働き始めた頃に叩き込まれたフレーズについて書きたいと思います。最近思い出したと書きましたが、その考え方自体は身に染み込んでいて、私の仕事人生の40年弱、常に私と在りました。
1987年、英語も出来ないのにアメリカの投資銀行のソロモン・ブラザーズに入社した私は、東京で入社して3ヶ月後に、ニューヨークのトレーニング・クラスに送り込まれました。文字通り、右も左も分からない状況でした。そんな中で、当時のウォールストリートで歴史上最大のトレーニング・クラスが始まりました。実はこのクラス、その3~4ヶ月の期間中にブラック・マンデーが起き、トレーニーの過半がトレーニーなのにクビを切られることになるのですが、クラスが始まった時は、当時キング・オブ・ウォール・ストリートと呼ばれたソロモンの威光の感じられる雰囲気でした。
そのトレーニング・クラスの最初の授業は、トレーディング・ハウスであるソロモンではあるけれども、セールス出身のオーウェンによる授業でした。そこで彼曰く、君たちが覚えておかねばならないのはこの言葉だ。IDKIFO。即ち、I don't know, but I will find out. - 分かりません。しかし調べて折り返します。 - お客さまから質問を受けたら知ったかぶりをする必要はない。むしろすべきではない。その替わりに、調べて折り返しますと返事して、同僚・先輩・上司に聞いて、答えを調べ、一流の返答をお客さまにするのだ。それが何よりも大切だ。 - そう教わりました。
私はどちらかと云うとトレーダーの道に進んで行くのですが、実はトレーダーもセールスも、根っこは一緒です。相手の云うことを聞くこと。当たり前のように自分の知らないこと・分からないことの方が遙かに多くて大きいので、真摯にそれを受け止め、「云い当てる」ことよりも「学ぶ」ことを自分の前に出すこと。これらが肝要です。私にとっては当たり前のことなのですが、周りを見ていると必ずしも皆がそうしているようには見えません。
私は、メイド・イン・ソロモン。仕事人としてのいろはは全てソロモンで学びました。リスク・テイキングとリスク管理の学びが多かったのですが、今思い起こすと、その以前にこのような「姿勢」について教えてくれたのでした。感謝です。IDKIFO。もしそのような行動規範を取ってない若いビジネス・パーソンがいたら、是非導入することをお勧めします。
