泣けました。日曜日にレッズの今季最終試合を見に、生まれ育った町に行きました。駒場のサッカー場はかつてたまに忍び込んで遊んでいた場所です。2万2千人が球場を赤く染めて一丸となって応援し、心配し、そして歓喜し感慨に耽ったのも格別でしたが、試合のあとに駅まで帰る道のりは更に感慨深いものでした。かつて暗くなるまで毎日自転車に乗って遊んでいた街並み。幼なじみの家、自転車から転げ落ちて怪我をした場所、そしてかつて住んでいた家。全てが殆ど昔のままでした。空気の感触も、夕方の柔らかい陽射しの色も、町の音も、道路の色も、全てが一緒でした。たった1つのことを除いて。おかしなことに街並みが全てミニチュアのように見えたのです。8分の5ぐらいでしょうか。生まれてからずっと同じ場所に育ち、大学生になってその場所を離れそれっきりになってしまった私には、街並みに関する記憶は小学生の頃に見たスケール感がそのまま固定されてしまっていたのでしょうか。タイムスリップして昔に旅をしたような、そんな不思議な感覚に包まれた午後でした。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。