ビジネスモデル特許とか知的所有権とか、その手の話が昨今増えていますが、果たしてこれらの権利を守ることは経済全体にとって有益なことでしょうか?私は逆の効果の方が大きいのではないかと思います。新しい創造をした人の利益を守る、またそうすることによってそのようなアクティビティーを推進すると言っても、私の直感では一番最初に発明した最も創造的な人よりも、権利保全の手続きに長けた人の利益が守られるケースの方が多くなるような気がしますし、そもそも社会にとって最も有益な発明はみんなに共有されるべき、或いは事実として共有されてしまうものではないでしょうか?
ライト兄弟の最大の発明は、離陸直後に機体がローリングして墜落してしまうことを避けるために、左右の翼の捻りを自動的に調整して揚力を変化させて機体を元に戻す仕組みだったそうです。しかし、これは特許申請されたにも関わらず、世界中が勝手にその発明を応用してしまい結果的に無視されたそうです。ある特定の人の発明として制限するには、人類にとってあまりにも不利益が大き過ぎたのでしょう。なかなか難しい問題ですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。