上海総合指数+0.6%、香港ハンセン指数+7.1%
中国株の2025年8月29日終値~9月30日終値までの騰落率は、上海総合指数は+0.6%、香港ハンセン指数は+7.1%と上昇基調が続いています。特に香港ハンセン指数は大きな伸びとなっています。
香港ハンセン指数の中で特に大きく上昇しているのはAI関連株です。中国のAI関連の中心銘柄となりえるアリババ集団(09988)は当該期間に53.0%と大きく上昇しており、10月に入ってからも騰勢を強めています。なお、もともと同社に多額の出資を行っていた日本のソフトバンクグループ(9984)の株価推移も似たような形となっています(過去に保有していた大半を売却済みではありますが)。
世界各国で盛り上がる次のAIリーダーを探す動き
世界のAIの先頭を走ってきたエヌビディア[NVDA]の株価が高値で停滞感を強める中で、次のAIリーダーを探す動きが各地で盛んになっています。米国では2024年からブロードコム[AVGO]が次のエヌビディア候補として株価が大きく上昇し、時価総額1兆5000億ドルを超えてきており、2025年はオラクル[ORCL]がその後を追うように急騰を続け8000億ドルを超えてきました。
AIインフラ投資で日本のソフトバンクグループ(9984)も2025年は大きく上昇し、時価総額は31兆円を超えてきており、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)を抜いて、トヨタ自動車(7203)に次ぐ、日本で時価総額2位の銘柄となっています。
中国のAI関連株は世界のAI関連株と比較して大幅に出遅れている
中国でも次のAIのリーダーを探す流れがきていると言って良いでしょう。アリババの時価総額はようやく4400億ドルを超えてきたところで、世界のAI関連の中では大幅に出遅れていると言えます。出遅れている背景には、5年前には8000億ドルの時価総額があったものの、習近平政権との確執によって2024年まで株価が軟調な状況が続いてきた経緯があります。この間、エヌビディアなど、米国・日本・台湾のAI関連株が飛躍的に上昇し、大きな差が生じました。
加えて中国のAI環境や、それを支える半導体技術が米国に大幅に出遅れてきたこともあります。しかし、トランプ政権が推し進める米国からの厳しい半導体輸出規制を受けて、中国は米国を中心とした他国のハイテク企業に頼らずに自国内でAIの技術を高めることを迫られました。そこに取り組むことによって、米国との差を着実に縮めてきている様子です。
アリババ集団(09988)と政権との確執は修復、国を挙げてAI強化へ
中国本土A株市場(上海・深セン)ではAI関連株が2025年に数倍高となるなど高騰して、10兆円前後の銘柄がたくさん出てきています。今後、米国に遅れて中国においても莫大なAIインフラ投資が発生する可能性もあります。前述のアリババ集団(09988)は政権との確執も修復され、むしろ国を挙げてのAI強化の動きで関係強化されており、米国市場でも複数の著名ファンドが相次いでアリババ集団(09988)の株式を取得するとのニュースが出ています。
アリババ集団(09988)だけではありません。AI向けの半導体に関する輸出規制を受けて、中国でも国産AI向け半導体の開発企業が増えており、2027~2028年頃までにはかなり中国産AIチップが市場シェアを高めていく可能性があります。
これを受けて、中国最大手の半導体ファウンドリー(受託製造)である中芯国際(00981)の株価は大きく上昇しています。もちろん、現在は研究開発を重ねているところで利益が追いついてくるのはまだ大分先なので、PERなど利益面からみた株価指標を見ると割高ですが、これだけ上昇しても時価総額は1100億ドル程度であり、前述のブロードコム[AVGO]の10分の1にも満たない額です。
また、アリババ集団(09988)と並ぶ中国IT大手の双璧、テンセント(00700)の時価総額も8000億ドル程度、両社と共に中国のAI大手と見なされる百度(09888)の時価総額においては500億ドル程度に過ぎません。中国のAI企業は世界のAI企業から大きく出遅れており、そのポテンシャルも含めて大きなチャンスがあると考えます。
