お金という「流動性」は世界中のいろいろな資産を循環物色していきます。そのようなマクロ的な観点から投資対象を考えるのもたまにはいいものです。私が気になる「資産」の1つはアメリカの債券です。米債投資のリスク(或いはリターン)は為替と米国金利です。要はドルが売られなくて(より正確に言うと日米金利差から生ずるフォーワード・ドロップ(現在ドル・円だと1年間で6円ぐらいだと思いますが)よりもドルが弱くならなければ、即ち1年後でドルが102円よりも強ければ)、また米国金利が上昇しなければ、日本からの投資としては成功する訳です。
アメリカは世界のGDPの40%程度を産んでいます。かつ所謂IT革命の仕掛け人はアメリカであって、世界のどこでITが普及しても何らかの形で利益がアメリカにある程度還元されると思われます。そう考えると世界の基軸通貨としてのドルは今後も安定もしくは強含むのでないでしょうか。
一方現在の米国株式市場のあやふやさや今の高レベルを考えると、サイクル的には米国金利は安定もしくは下がり気味になるように思われます。そう考えると、米債と言うのは魅力的な投資対象に見えてきます。あくまでも部分的にですが、このようなエクスポージャーを検討されるのもいいかなと思います。(ウェルズリー・ファンドは基本的に米債の性格の極めて強いファンドです。)
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。