ジャクソンホール会合は、中央銀行関係者や学者、民間有識者が集う「テクノクラートの祭典」として知られています。私の歳ほどの歴史を持つこの会合は、量的緩和やインフレ目標など、後に各国が採用する重要政策の方向性を議論し、世界の金融政策の流れに大きな影響を与えてきました。
今年のテーマは「移行期の労働市場」でした。FRBのパウエル議長は、雇用減速リスクを踏まえつつ利下げの可能性を示しながら、「判断はデータに基づく」と強調しました。緩和期待を強める形で株高・金利低下と、トランプ大統領の圧力も強いなか、楽観的な反応が見られております。
ECBのラガルド総裁は移民労働が成長と物価安定に寄与したと述べ、構造的課題への対応を強調しました。日銀の植田総裁は賃金上昇が中小企業にも広がりつつあると説明し、追加利上げの余地を示唆しました。イングランド銀行のベイリー総裁は高齢化と労働参加率低下を課題に挙げました。
各国共通して「独立性とデータ依拠」が強調されるも、その政策スタンスは異なります。市場は各国の違いを超えて楽観的な反応を示しておりますが、現実に裏付けられるか確認する段階を迎え、今後の政策運営が試されることになります。
